舞台-theatrical-

□月影ニ浮カブ虚像ノ恋唄
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あらかじめ調べておいた屯所の部屋割り。

彼の部屋は東棟の庭に面した一番奥。

気配を消して庭を速足に横切り部屋の前に立つ。

物音ひとつしない秋の夜。

俺は障子にそっと手を掛ける。



ふわっと心地よい風が頬を撫でる。

俺はまだ、夢の中。

瞼の裏に人影が映った。

だれ?

目を開けようかと一瞬考えるが、開けたってどうせ見えない。

―ほっとけ

夢の中の俺が言う。

―どうせまた、アイツだろうよ
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