舞台-theatrical-
□月影ニ浮カブ虚像ノ恋唄
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夜。
木々も神楽も寝静まった頃。
俺はそっと家を抜け出す。
最近はもうすっかり秋だ。
俺の誕生日から約2ヶ月。
夜になると昼間の暑さはどこへやら、
田舎というのも加担してか涼しくて寝心地のよい風が吹く。
電気を消し、ゆっくりと目を閉じる。
アイツはもう寝ただろうか。
机に向かって仕事をこなしながらそんな事を考える。
つい数日前までは、暑いだなんだと理由をつけ枕を抱えて押しかけてきたが、
冷房いらずのこの頃はぱったり来なくなってしまった。
妙に寂しい夜の月。