舞台-theatrical-
□シリウス
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「…さん?ひじかたさんってば!土方さん!!」
「ぅわっ!」
「何ボーッとしてんですかィ。轢かれやすぜ」
すぐ横をトラックが走り抜ける。
総悟が引っ張ってくれなかったら確実に轢かれていた。
礼を言いながら溜め息をつく。
「…どうしたんですかィ?思いつめた顔して」
「別に。なんでもねえよ」
「そーでした。土方さんは年中ムッツリの中年オヤジだったねィ」
「ンでだよっ!!」
思わずツッコムが、総悟は頭の後ろで手を組み口笛を吹くフリなんてして知らん顔。
また溜め息がこぼれる。
「そんなに溜め息ばっかついてたら幸せが全部逃げちまいやすよ?俺のところに」
「なんでお前ンとこ行くの?」
「日頃の行いがいいから」
「それだけは無いだろ」
朝がきて、仕事して、楽しんで、夜がきて、また朝がくる。
そんな普通な日常が、いつまでも続くとは限らない。
そんな日々を、自らの手で壊してしまう日がくるなんて、その時は誰も思っていなかったのに。