舞台-theatrical-
□鏡の中のフェアリーテール
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「おまっ、ホントは滅茶苦茶辛ェんだろ!!なんで言わねえんだよ!!」
大慌てで総悟を再び布団に寝かし、冷えピタをおでこに貼ってやる。
「ッだって…」
俺を見上げて必死に言葉を紡ぐ総悟をジッと見つめ、できるだけ一回で理解できるよう試みる。
「土方さん…俺が具合悪ィと、困る、でしょう…?困るのは…イヤ…って…」
「そらテメェが言ったんだろ、俺は言ってねえ」
途切れ途切れの台詞をなんとか解釈し、やっぱ馬鹿だよなぁ と目を細める。
「じゃあ…ひじ、か…さんは…イヤ…じゃない?」
ったく、なんでこんなに可愛いんだよ。
普段滅多に話さない標準語で一生懸命問いかける総悟に照れ隠しの皮肉を言う。
「まぁ、いつもの事だし…慣れちまったな」
ちらりと総悟を見ると、無い頭で考えたあげく
「…それって…めぇわく?」
と真剣な顔で聞いてきた。
俺は大きな溜め息をつく。
「別に。ソレが俺の役目だろ?」
「…義務?」
「権利…だな。かーいー総悟を看病できる権利」
ニィッと笑ってみせれば嬉しそうに顔を緩ませる総悟。
サラサラと頭を撫でつけながら本当に弱っていることを実感する。
普段なら「可愛い」なんて言葉絶対に聞き逃さないし、こんな風に黙って撫でさせてもくれない。