舞台-theatrical-
□君に熱中症
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「あ…土方さん!大丈夫ですかィ!?」
「あ、あぁ」
「よかったぁ、このまま死んじまうんじゃないかと思いやした」
「嫌か?」
「は?」
頓狂な声を出して大きな目で首を傾げる総悟。
少し目を伏せてきっぱりと言い放つ。
「嫌でさ」
「!!」
いつもみたいにおどおどした様子がなくて逆にこっちが少し恥ずかしい。
「アンタは俺から全てを奪っていった。姉上も、近藤さんも、全部アンタが」
「や、近藤さんもともとオマエのじゃねーし」
「もう…何も失いたくないんでさ。この上土方さんまで奪われてたまるかっての」
俺の目を真っ直ぐ見つめてニヤリと笑った。
ずり落ちたタオルを拾い、新しいのに取り替えてくれる。
「コレ…全部オマエがやってくれたのか?」
「そーですぜ。感謝しなせェ」
「ありがとな」
総悟の傍らには水の張った桶と真っ白なタオルが置いてあった。
「水飲みやす?」
「え?あぁ、うん」
コップに入れてきてくれたが上手に飲み込めず零れてしまう。
「うっ、ゴホッ…ムリだわ」
「ちょっと待ってて下せェ」