舞台-theatrical-

□君に熱中症
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脱水症状?と思った時にはもう遅かった。

蝉の声が頭の中でガンガン鳴り響き、世界がグラリと揺れる。
遠くの廊下を総悟がザキと並んで歩いてるのが見えた。
楽しそうにおしゃべりしていた総悟がハッとしたようにこちらを見る。

「土方さん!?」

草履もはかないで駆け寄ってくる総悟。


フワリと優しい感触がした。



暖かい手、暖かい声、暖かい眼差し。

少しずつ眠りから覚め、頭が左を向く。
ズルリ、と何かが滑り落ちる。
目を開けて見ると、目の前には不器用に四角くたたまれたガーゼがあった。

「ん…」

何だコレ。

視線を少し下へずらすと誰かの足が見える。
キッチリ正座しているからザキくらいだろうかと思って見上げたら全然ちがった。

「そーご?」

コクリと前のめりになった総悟はピクッと反応して目を開ける。
それから眠たそうに欠伸をして、ようやく俺と目が合った。
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