舞台-theatrical-
□君に熱中症
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「珍しいですねィ、土方さんがサボってるなんて」
袖で口を拭って隣に腰掛ける総悟。
「あ、ココいいね。ちょうど日陰じゃん」
嬉しそうに笑って呟く。
「別にサボってんじゃねーし。休憩だよ休憩」
「ふぅーん」
空のビンを両手で持って遠くを見つめるその姿にガキっぽさがなくなるのはいつの事だろう。
ふいに、総悟が立ち上がった。
「ちょっとジミーに話があるって呼ばれてるんだったや。行ってきまさ」
「ハイハイ」
俺の隣にはちゃっかり中の玉まで抜かれたラムネのビンがぽつんと立ってるだけだった。
立ち上がって庭へ出ると陽が眩しくて思わず目を細めてしまう。
一層騒がしくなった蝉に黙れとも言えず、ただジっと睨みつける。
「そういや最近寝てねェな…」
仕事づめで睡眠なんて取っている暇がなかった。あの総悟ですらここの所あまり昼寝をしていない。
「にしても暑ィな」
シャツの襟をパタパタと扇ぎながらアレ?と何かにひっかかる。
「…汗かいてない?」
こんなに暑いのに、俺は一滴も汗をかいていなかった。