風景-scenery-

□あけました おめでとう
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「ん。これでよし…っと」

最後の一枚が完成した。
屯所の人は最悪の場合手渡しでもいいと思ったから後回しにしていたのだ。

あと数分で今年も終わる。
広間では隊士たちが目を皿のようにして時計を見つめていることだろう。
さっき山崎に一緒に飲もうと誘われたけど、年賀状がまだだと言って断った。


「土方さん…部屋にいるかな」

単の上から上着を羽織り、副長室へとむかった。



襖を軽くノックする。

「ひじかたさ〜ん。いやすかぁ〜?」
「いいぞー」

ん?
なんだ機嫌がいいな。

ハガキを懐に隠し、部屋に入る。
こざっぱりとした物が少ない土方さんらしい部屋。
俺の小宇宙とは大違いだ。
年末の大掃除だってどこから手をつければいいのか悩んでいるうちに今日が来てしまった。

そしてあと数秒で新年を迎える。

「どうした?んな所で突っ立ってねェでこっち来いよ」
「え?あ、そうですねィ。いやー、なんか煙草臭ェなと思って」
「いつものことだろ」
「まあ」

テレビの前に座る土方さんと並んで腰を下ろす。
クイズ番組の司会者が、ちょうどカウントダウンを始めたところだった。
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