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□今日は何の日?
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「あぁ、葵。今日も貴女はたいへん可愛らしい!」


『うるさい、寄るな』


「そんな照れないでくださいよ」


『照れてないし』


「クフフ、わかってますよ、葵。恥ずかしがり屋なんですよね」


『いや、意味わかんないから。っていうか今普通に授業中なんだけど。うるさいから黙れ』




さっきから先生の視線が痛い。

ごめんなさい、先生。



って、なんで私が謝らなくちゃいけないんだ。

もとはと言えば、この私の隣に座る特殊な髪型と笑い方の男のせいだ。










お昼休み。

私は自作のお弁当を屋上で一人でつつきながら、ようやく暖かくなってきた日差しに目を細める。


風が気持ちいい…。




「ご一緒してよろしいですか?」


『骸…』



顔を上げると、授業中に私が痛い視線を集めた諸悪の根源である六道骸が立っていた。



『…好きにすれば』




私は何だかんだ言って、骸がちょっかいだしてくるのは嫌なわけじゃないんだ。


ただ、さすがに授業中にあんなこと言われるのがちょっと迷惑なだけで。




骸は「ありがとうございます」と微笑んで私の隣に腰をおろした。



『…骸って変わってるよね』


「はい?」



私の発言に、骸はわからないという顔をする。


いや、どこが?みたいな顔してるけど、とりあえず髪型とかは変わってると思うんだよ、私。

自覚ないのかな。



まぁ私が言ってるのはもちろん髪型の話ではない。




『なんで私なんかに構うの?私 愛想悪いしさ、口も悪いし、特別美人でもないし可愛くもない。
みんな暗いとか怖いって言ってあんまり近寄らないのに』




「なんで私に構うの?」と、もう一度尋ねると骸は「あぁ、そんなことですか」と呟いた。




『そんなことって…』


「僕はただ、葵のことが気に入ってるだけ……貴女が好きなだけですよ。それが構う理由だと、納得できませんか?」


『!?ま、またそんなこと言って…』




ドキドキするのは、自分がただこういうこと言われ慣れてないからだ。


冗談だとわかってても、こんなこと言われたらさすがに動揺してしまう。




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