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□ご注文はお決まりですか
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最近私がバイトを始めたカフェ。

こぢんまりとしているが、雰囲気がよくてとても気に入っている。


チリン――


店のベルが鳴ってお客さんが入ってきたとわかると、私は出入り口を振り向いた。



『いらっしゃいませ!』



来たのは青と赤の瞳が印象的な綺麗な顔立ちの男の子。


大人っぽく見えるけど、同い年くらいかな?
オッドアイなんて初めて見た。



いや、それより何より気になるのは…。



「あの、何か?」


『あ、いえっ!お一人様ですか?』


「……はい」


『では、空いてるお好きな席にどうぞ!』



あぁ、やばいやばい。

あまりにも目線を頭に生えてるふさに向けてたから不審がられちゃったよ!



だってあの髪型すごくね!?
めちゃくちゃ気になるんだけど!


南国果実を思わせる髪型に思わず吹き出しそうになったのは、私だけの秘密だ。



『ご注文がお決まり次第、お呼びください』



私がマニュアル通りの台詞を言うと、彼はこちらを見てにこりと笑った。



「では、コーヒーをお願いします」


『はい!少々お待ちください』



す、ステキ笑顔!
やっぱり顔立ち整ってるって得だよなぁ。


なんて考えながら私はカウンターの後ろに引っ込んだ。




***




『お待たせ致しました』


「どうも」



彼が座っている窓際の一番端の席にオーダーされたコーヒーを持って行った。

すると彼は軽く会釈をしてから「いい店ですね」と呟いた。



「あ、ありがとうございますッ!」



思わず大きな声でお礼を言うと、笑われてしまった。


やっちまった!
なんて恥ずかしい!!



「クフフ。おもしろい人だ。気に入りましたよ、この店も、貴女も」


『ふぇ!?』



恥ずかしくて俯いてた顔を勢いよく上げると、後ろからマスターの呼ぶ声がした。



「呼んでますよ」


『あ、はい!』



私は慌ててマスターのところに向かった。


びっくりした…。
いきなりおかしなこと言うから…。

いや、聞き間違いかな?
きっとそうだよね!


ほてった顔を手でパタパタとあおいで、私は仕事に戻った。







その日以来、彼は毎週決まった時間に決まった席に現れるようになった。




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