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□人気者の君に妬く
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視線を落として、どこを見るでもなくぼーっとしてると、視界にスパイクが入った。



『?』


「どーしたの、葵ちゃん?」


『わっ、先輩!』


「なんか元気なさそうに見えたけど」


『あ、いえ、別に…』



武のこと考えてヤキモチ妬いてました。
なんて言えないよ!



「ふーん?」


『ちょっと、ぼーっとしてただけです』


「ならいいけど」



先輩はそう言って笑うと、じぃっと私を見つめる。



『ど、どうしたんですか?』


「いや?ウチのマネージャーはかわいいなーって思って」


『………はい?』


「ね、葵ちゃんって彼氏とかいんの?」


『な、何ですか急に!』



最近、よく絡んでくる先輩。
部活もサボりがちだったのに、いつからか急に顔を出すようになった。


ま、さすがにレギュラーには入れなかったけどね。




「葵ちゃんさ、オレと付き合わない?」


『は?』



突然の、しかも予想外の台詞に頭がついていかない。



「最近急にかわいくなっちゃって、オレ、結構マジなんだけど」



何言ってるの、この人。
どうしよう…。



『先輩、あの…今は試合中なので、』


「じゃあ試合終わったら時間くれんの?」


『え、えっと…』



試合が終わったら武と帰る約束をしてる。

でも、今の試合中にこんな話するのはホント勘弁。
というか、こんな話を試合中にしてくる先輩も先輩だけど。


……。
ちょっとくらいなら、武も待ってくれるよね…?



『わかりました』




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