short

□Please realize!
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「…なんだよ、それ」


“親切心で助けてくれてるだけで”


それだけじゃない。

オレが葵を気にかけてる理由はそれだけじゃないのに。


…本当、鈍感な奴。

結構わかりやすくアピールしてると思うんだけどな、オレ。



「よっ!ツナ、どーかしたか?」



名前を呼ばれてハッとする。
顔を上げれば見慣れた笑顔があった。



「山本…おはよう。何でもないよ」


「そーか?教室入ろうぜ」


「うん」



さっき盗み聞きみたいなことをしてしまい、教室に入るのが少し躊躇われたが、山本に背中を押されて中に入る。


ちょうど教室の真ん中あたりの席にかばんを置いて隣を向くと、葵と目が合った。



『あ、おっ、おはようツナ君!』



少し慌てた様子がかわいい彼女に、オレも微笑み返す。



「ん、おはよう。…あのさ」


『え?』


「あぁ、えっと……」



何が“あのさ”なのかよくわからないまま話し掛けたことに今更ながら後悔。




「き、今日の放課後、ひま?」


『えっ、今日?…うん、特に何もないけど…』



苦し紛れに出した言葉だったけど

いいことを思い付いた。



「じゃあ、友達にプレゼント買いたいんだけど、ちょっと付き合ってくれる?」


『わ、私でよければっ!』



顔をピンク色に染めて言う彼女は、やっぱりかわいい。


買い物なんて予定してたわけじゃないけど、少しくらい葵にオレの気持ちわからせてやんなきゃね。




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