short

□ばんそうこう
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結果。

結局綱吉のチームは負けてしまい、片付けを押し付けられた綱吉は一人体育館倉庫にいた。



「ついてないよなー」


『ツナ、いる…?』


「え…葵ちゃん!?」


『あ、いた!』



にっこり微笑む葵ちゃんは、オレの隣の席の、ふわふわした可愛らしい女の子だ。



「ど、どうしたの?」


『へ?何が?』


「いや、体育館に用事とか…あったのかなって…」


『うーん…。用事って言えば用事かな?ツナ、腕見せて』


「?」



言われるままに腕を差し出すと葵ちゃんは「やっぱり」と悲しげに呟いた。



『ツナ、ここ擦りむいてる。痛そう…』


「え?あぁ、これくらい大したことないよ」


『ダメだよ。ちょっと待ってね』



葵ちゃんが取り出したのは、一つの絆創膏。



『動かないでね?』



笑顔でそう言われれば動くことなんてできない。

代わりにオレの心臓はバクバクと動きを激しくした。



ぺたり、と葵ちゃんが持っていた可愛い柄のそれは

オレの左腕にくっついて、小さな擦り傷を覆い隠した。




『よしっ!』


「あ、ありがとう。…このためにわざわざ来てくれたの?」


『うん。体育のときから気になってたの。ツナって結構無茶するじゃない?…それに私、保健委員だし!』



ふわりと微笑んで、葵ちゃんは倉庫内に落ちてるボールを拾い上げた。


ひとつひとつの所作に見惚れてしまっていることに気付いて、オレはいまさら顔を赤くした。



『ツナ、片付けはこれで終わり?』


「う、うん!ありがとう、助かったよ」


『どういたしまして。あ、私これから委員会の仕事あるから行くね!』



バイバイ、と手を振る葵ちゃんはまさしく天使のようだ。


オレは赤い顔のまま、手を振り返した。




再び一人になった綱吉はさっき貼られたばかりの絆創膏を見つめた。





小さな君とのつながり




(どうしよう、この絆創膏)
(取るに取れないよ…)





end
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