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□Trick or Treat ?
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『恭弥!』


「…なんだい」



私は朝から大好きな姿を見つけて駆け出した。


鬱陶しそうにしながらも振り向いてくれたのは、風紀委員の腕章をつけた学ランをいつものように肩からかけている恭弥こと、雲雀恭弥。



『こんなとこで会うなんて偶然だね!』


「バカじゃないの。学校で、しかも身だしなみ強化週間の今日はここで僕に会うに決まってるでしょ」


『運命かも!』


「ねぇちょっと聞いてる?」



恭弥がなんか言ってるけどまぁいいとしよう。

それより今日はなんといっても恭弥に言わなきゃいけないことがある!



『ねーねー恭弥!』


「……」


『とりっくおあとりーと!』


「めちゃくちゃひらがなだけど」


『い、いいんだよ!通じれば!』



そう。
今日は10月31日、いわゆるハロウィンってやつだ。

今年はちゃんと誰に「とりっくおあとりーと」って言われても良いようにお菓子も持ってきたし!

準備万端!完璧!


ふふん、と鼻を鳴らして恭弥の前で腕を組んでいるた私に、恭弥は言い放った。



「じゃあイタズラしてみてよ」


『えっ』


「僕お菓子なんて持ち歩いてないし。イタズラしたいならしてもいいよ」


『なっ!?』



予想外の展開だ。
お菓子は準備してたのにイタズラなんて準備してない。


目の前で恭弥がニヤリと嫌な笑みを浮かべている。

あれ絶対私がイタズラ考えてないってわかってる顔だよ。
ど、どうしよう…!



「しないの?イタズラ」


『う……えっと……な、何してほしい?』


「……君ホントにバカだね」



呆れたように言った恭弥は私の頭に手をおいてまたもや言い放った。



「放課後、応接室」


『っ!』


「イタズラ教えてあげるよ」



耳元で囁かれて、あぁ私はこの人には敵わないんだ、と思い知らされたハロウィンでした。





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