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□ホームラン
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ボールがバットに当たる良い音が響き渡るグラウンド。


そして今日も山本先輩目当ての女の子たちの歓声がすごい。



「「きゃー、山本くーん!」」


「「たけしー、がんばってー!」」



その様子を見ながら、私はスコアボードに点数を追加する。



『相変わらずすごい人気…』


「ちょっと月咲さん、ぼーっとしてないで部室前に散らばってるボールでも片付けてきたら?」


『す、すみません。でも私…スコアボードに…』


「どんくさいあなたになんて任せられないわ。それはあたしがやるから、あなたはボールの片付けと部室の掃除でもしててくれる?」


『は、はい…』



私は先輩マネージャーに言われるがまま、部室前に行ってボールを片付け始めた。




野球部のマネージャーは私と赤石先輩の二人。

赤石先輩は言葉はキツいけどテキパキと仕事のできるとっても美人な一つ上の先輩。


山本先輩と同じクラスで仲もいいらしい。





…山本先輩のことは好きだけど、私なんかが敵いっこないし。




そんなことを思いながらボールを片付けていたら、どうやら部内の練習試合が終わったようだ。



「月咲ー」


『っ! は、はい!』


「部室にある冷却スプレー取ってくれ」


『あ、』


「武、こっちに用意してるわ」


「お、さんきゅ。わりーな月咲、あったみてーだわ」


『い、いえ…』



び、びっくりした。

山本先輩のこと考えてる時に呼ばれたから心の中読まれたのかと思っちゃった…ありえないけどさ。



それにしても…。

私は少し離れたベンチを見る。




「赤石はいつも用意いいよな」

「マネージャーなんだから当たり前でしょ」




ほんと、敵いっこないな…。





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