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□おつかい
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おつかいを頼まれて、遥々イタリアまで来ました。
『あれ?ここさっき通ったような…?』
あ、どーもこんにちは。月咲葵です。
ただいま絶賛迷子中!
いやぁ、やっぱり勘で動くとダメですね!
『たしかあっちの方角から来たから…えーと…』
地図とにらめっこを始めて早数時間。
こんなんだと日が暮れちゃうよ!
誰かに聞けばいいんだろうけど、あいにくイタリア語はちゃんと話せないのさ!
日本語以外は話せません。いいじゃん日本人なんだから日本語だけ知ってれば。
国際化?知るかそんなもん。
ドンッ
『ぶっ!?』
おっとしまった。地図ばっか見て歩いてたら人と衝突。
『すみませ…じゃなくて……そ、ソーリー?』
いっけね☆
思わず日本語飛び出ちゃったぜ!
「う゛お゛ぉい!大丈夫かぁ?」
『うわっ、うるさ!』
「………。(初対面でうるせぇとか言いやがった…!)」
『あれ?日本語?』
「って、人が親切に心配してやってんのに無視してんじゃねぇえええッ!!」
『あ、ごめん。えっと、見てのとおり私は元気です。んで、質問なんだけど おにーさんイタリア人だよね?』
「(変なヤツ…)あぁ」
『日本語うまいっすね!てか髪きれい!そして美形!』
「そ、そうかぁ?」
銀髪のおにーさんはちょっと照れたように視線をそらした。
ちょっと可愛らしい面もあるのね!
「それよりお前、何やってたんだぁ?」
『あ、そーだ!ちょうどよかった!
とある鬼畜上司からイタリア語も話せない こんなか弱い私を一人でイタリアに行かせるなんていう意味不明なおつかいを頼まれて、ここに行きたいんだけど、わかります?』
「(ツッコミどころが多すぎるぞぉ…!)」
何故か引きつった顔をする美形おにーさんに地図を見せると「地図まであってなんで迷子なんだ」と言われた。
そんなの私が聞きたい。
「ん゛ん?おい、本当にここかぁ?」
『え、はい』
「……お前、名は?」
『は?…月咲葵だけどなんか文句あんの?』
「う゛お゛ぉい!お前が葵かぁ!!」
『そうだとも。私が葵だ!』
「………その返し方はなんかおかしくねぇか?」
って、あれ?この人私のこと知ってんの?
…なんで?
「まぁいい。おい、ザンザスが待ってるぜぇ。ついて来な」
『えっ、おにーさんザンザス知ってんの!?』
「………」
『………』
「お前……よくバカだと言われるだろぉ」
『おのれ、何故それを!!』
「…はぁ」
あ、今バカにされた気がする。
結局私はおにーさんに、私の目的地だったヴァリアー邸に案内してもらいましたとさ。
(えぇ!?おにーさんもヴァリアーだったの!?)
(…やっぱお前バカだろう)
end