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□君は特別
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『うーん……』
登校前の家で私が持つ体温計が示している数字は37.6。
いわゆる、微熱ってやつ。
久々に風邪ひいちゃったか…。
『ま、そのうち下がるよね!早く行かなきゃ遅刻しちゃうし!!』
そんな安易な考えで私は寒くなり始めた通学路に、かばんを持って飛び出した。
***
キーンコーン…――
3時間目終了のチャイムが鳴った。
ってことは、次は私が楽しみにしてた体育か。
指定のジャージに着替えるべく、男女はそれぞれ違う更衣室へと足を向ける。
「ちょっと葵、アンタどうしたのよ!?」
「葵ちゃん、大丈夫?」
心配そうな顔をする花と京子。
『え?何が?』
「何がって…さっきからフラフラじゃない。」
「具合悪いの?」
『え、いや…』
もしかして、熱上がってんのかな?
身体は確かにだるいけど、別にそんなたいしたことないし…。
どーせただの風邪だろうし。
『ちょっとだるいだけ。大丈夫だよ!』
にっこり微笑めば2人は少し顔に安心の色をみせた。
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