長編

□鬼が嗤う
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 ザァーー


「新八ィ、そろそろ出てやれよ、こんな嵐の中わざわざ万事屋なんかにきたんだ、よっぽど困ってるんじゃねーの?」




 しつこいチャイムの嵐が降る万事屋の中、ソファーでだらしなく寛ぐ銀時。




に賛同するように銀時とは反対側のソファーで定春とじゃれていた神楽までもが、
  



「そうアル。私たちは台風を満喫してるから忙しいネ!ぱっつぁんずーっといつも通り。ヒマなんでショ?さっさと行ってくるヨロシ」


 家政夫、もとい新八は洗濯物を畳む手を止め、ぶつぶつ文句をいいながら玄関に向かう。哀れ、慣れたものだ。





ずっと鳴り響いていたチャイムの主を迎え入れるように引き戸を開けつつ
「お待たせしてすみません。こんな嵐の中、どうかなさいましたか?   ……」




 バタンッ!



開けてすぐに扉を閉じたのだとわかる音が万事屋を揺らし、先ほど玄関に新八を向かわせた2人も訝しげに顔を見合わせ、のたのたと玄関へ向かう。




玄関の引き戸では新八と訪問者が決死の攻防戦を繰り広げているようで、ドタドタと小刻みに鳴っていいる。




仕方がないので新八を戦線離脱させ、いきなり抵抗がなくなったことでつんのめった訪問者に銀時の蹴りが入った…




ドゴッ ズルッ と妙な音を立てて玄関外の手すりに頭を打ち付けた後、滑って静かに地面に着地したのは黒髪で長髪の


「ヅラっ!?」




「銀さん、聞いても無駄ですよ。桂さんもう伸びてます。厄介事に巻き込まれる前に帰ってもらおうかと思ったんですけどね…」




 とりあえずこの嵐の日の厄介な訪問者を居間に引き上げ、お茶を勧めると息を吹替えし、やたらと真面目そうな口調で語りだした。



「あぁ 新八くん、お茶ありがとう。というか銀時貴様、顔もみずに蹴ってくるとはどういうことだっ
 まったく、せっかくこの嵐の中、わざわざ情報を持ってきてやったというのに…」




片腕を組み、頬杖をつくようなポーズでわざとらしくため息を吐く桂に、若干苛立ったような銀時の言葉が続く。





「マジで面倒事かよ…っ勘弁してくれ。っつっても、おめぇがどうしようもない馬鹿だってことは知ってるが、こんな嵐ん中だ。よっぽどの事だろう?幕府か、高杉関連か、宇宙のゴタゴタかぁ!? 真選組に追われている、なんていわせねーぜ?」




「まてまて銀時ッ 断じてあの犬共などではないっ というか、奴らもこの嵐の中じゃおとなしく息を潜めている… 
そうだ。動き出したのは、天皇だ。」


「「「はぁっ!?」」」



うってかわって静まり返った万事屋に、桂が茶を啜る音だけが響いていた…
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