短編

□Happy Halloween!!
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 「とりっく おあ とりーとアル!!お菓子ちょーだいヨ銀ちゃん!!」


10月31日の12時半くらいのこと、午前中に友達と遊んできた神楽は覚えたての魔法の言葉を唱えていた。




「はぁ?なにいってんのかな神楽ちゃーん?ったく昨日オメーが炊飯器壊してくれたお陰でいくら損したと思ってやがんだ。ガキは外で遊んでろ」



しかし、万国共通のマジックワードも万年金欠の万事屋では効果が無いらしい。

神楽は銀時の言うとおりにするつもりは無かったが、取り敢えずは外に飛び出した。



「んだヨー!銀ちゃんのケチがー!!!」



パタン…



「銀さん…」「おー」



..万事屋を出た神楽は、ハロウィン一色に染まる街を大股でずかずかと進んでいく。


「んだヨー!!可愛い家族にお菓子一つもくれないのかヨ!!」



そこに通りかかったのは買い物袋を提げた新八の姉、お妙だ。



「あら、神楽ちゃん?なにを怒ってるのかしら…」



「おっ 姐御アル!!買い物アルカ?ねえねえ聞いてヨ銀ちゃんがさァ…」



神楽が愚痴を零し終えると、お妙は袋とは別に持っていた風呂敷を差し出す。



「まぁ…全くどうしようもない人ねぇ銀さんは。ほら、このお菓子並に甘い卵焼きをあげるわ。だから元気だして!」



「…あ、ありがとネ 姐御。ばいばーい…ってアレ?今日って…」


若干冷や汗を掻いてしまったが、神楽はとりあえず また歩きだした。ちょっとした街の外れで路地からいきなり飛び出してきた人物とぶつかった。



「なにしてるネ。怪我してないアルカ?って…」



「ん?リーダーではないか…こんな所で何をしているんだ?」




そういって立ち上がる桂が身に付けているのは漆黒のマントと、かぼちゃのカタチをした鮮やかなオレンジ色のパンツ…




「オメーに言われたくねーヨ。攘夷はどうしたネ…変な趣味ができたアルカ。めっさキモいアル…近づかないでヨ」




「これは断じて趣味などではないわっ!!攘夷をするにはバイトも必要。ハロウィンだからな、グッズを売っているんだ。どうやらしるくはっととやらを付ければ雑魚らんたんとやらになれるらしい。リーダーも覚えておけ。」





「全然違ェーヨ。心配しなくてもオメーの頭はもともと雑魚アル。じゃあナ。」




そういって立ち去ろうとした神楽の肩に桂の手がかかる。




「まてまてっ リーダーにはコレをやろう…ハロウィン限定のんまい棒 魔女味だぞっ!」



「魔女味ってなにアルカ…訳わかんねーヨ。でも、コレは貰っといてやるアル」



風呂敷とんまい棒の入った袋を振っていた神楽は大通りに出た所で嫌そうな顔をしたが、いつもとは違い彼は何故か近づいてきた。 そして神楽を見るなり首を傾げる




「あり?チャイナじゃないですかィ…さては家出でもしたんだろィ。訳のわかんねー荷物でさァ」



「別に…違うアル。馬鹿なコト言ってねーでさっさと働くヨロシ。税金ドロボーが」



「今日はハロウィンっつーことで仕事も休みなんでィ…これをやりまさァ」




「んな訳アルカっ!…ん?ケーキ…っ!」




沖田から手渡されたのは小さなケーキ屋さんの箱だった。



「土方のヤローに食わせてやるつもりがバレちまいやして…チャイナにやりまさァ…じゃーな」



「オイっ!待てヨー 車で逃げるなんてズルいアルー!」



神楽の叫びも虚しく沖田は迎えにきたパトカーに乗って帰って行ってしまった



「もういいアル。どいつもコイツも…荷物いっぱいになっちゃたネ。帰ろー」



そうこうしているうちに夕暮れである。神楽は万事屋までゆっくりと歩いて帰ってきた。


ガラガラっ






以上神楽パート…お妙さんパートに続く→

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