長編

□鬼が笑う
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高銀風味…



 すみません。余興じゃないですけど、お遊びです。更新は今しばらくお待ちください…
 


夏が終わり、秋になる。そんな季節の変わり目のとある穏やかな宵。



日が完全に暮れたばかりで、子供たちの騒ぐ声や食器を片付ける水の音なんかが響く、普通の日。



江戸の外れにある街の橋では、そこだけ切り取られ、別の世界が広がっているように騒然としている。
 或る二匹の獣が争っていた。




獣…二匹は相反していた。片方は白く、片方は黒く。片方は今にも折れそうな木の刀を、片方は強靭な鉄の刃を振りかざす。また片方は護ることで世界をあらわし、片方は世界を壊して世界をつくっていた。  二匹の獣は反対の存在。だからこそ、片方は防戦一方で、もう片方は攻め続けるのだ。








相も変わらず激しく打ち合いながら二人は交錯する。



「銀時ィ、今日はテメェと争う為に江戸に来たんじゃねェ。」




「はぁッ!?じゃあなんでいきなりけしかけて来たりしたの?なんで俺が木刀でてめぇは真剣なの?今日は家に帰ってゆっくり休むつもりなんだよ。ガキ共も待ってるしなぁ」





「だからさっきから言ってるだろうが。その撃ち込みを止めろっつってんだ!」





高杉は降ってきた木刀を思いっきり返す。二匹は離れた。




先ほどまでずっと片方を攻め続けていたのは白の鬼。いつもは狂った心で相手を屠る黒の獣は、今日はただ白い方のしつこい木刀をいなしているだけだ。





なにやら争っているのだが、人間離れした闘いをしているように見えて、黒い方は白い方を止めようとしているだけのようだ。




再び剣が交差しようとした時、いきなり銀時が足を蹴りが高杉の顔にヒットした…




「なにしやがる、銀時ィ…」



散々の説得も聞かない上に顔面をキックしてくる…今は敵となってはいるが…なんて普通はいない。怒りも露わに見上げると、









銀時が手をさしのべていて、口には軽く笑みまで浮かべていたのだ。


「?」



「高杉ィ、この前の宣言はこれでナシだ。刀ァしまえ。んでもってその江戸に来た訳とやらを聞かせろ。」





高杉は地面に倒れたままくつくつと嗤い、さしのべられた手を掴み、立ったままの銀時を引き寄せる。





体制を崩してしゃがみこんだ白い頭を乱暴に撫でながら言う。




「相変わらずのお人好しだなァ 銀時よぉ。こっからは休戦だぁ。お前ェの巣。あのふざけた商売やってる…」




すると銀時は、地面についていた手を高杉の肩にのせるとひき離して立ち上がり、

高杉を向きながら芝居がかった所作でお辞儀をすると、手を差し延べる。





「万事屋にきたいってか?大物攘夷浪士の 高杉晋助さん?


      …食費やらなんやら金出してくれるなら、ようこそ鉄の街、かぶき町へ。」




とある晩の事、孤独な獣は久しぶりに手を組んだ。
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