リク

□*一目惚れの順序  普墺
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初めて見たときから俺はあんたに心臓を奪われてたんだ。
こんなのはちっとも俺の柄じゃないぜ。


「全くあなたは!!何でこんな馬鹿なことを…!」
「ケセセセセ…。うるせー坊っちゃんの仕事を増やしてあげたんだぜ?
この俺様に感謝すべきじゃないか!!!」
「えぇえぇ。あなたはそういう人でしたね。」


俺は弱虫だから、伝えられない。


「全く可愛くない坊っちゃんだぜ」


可愛くないのは一体どっちなんだろうな。














順序。















「なんやて?ぷーちゃん、好きなやつおるん?」
「へぇー、お兄さんも初耳。」


今日は会議も何も入ってない、いわゆるオフ日というやつだ。
そんな日に家に友人を呼んで、俺様は一体何をしてるんだろう。


「お、おう。まあな。」


こういう風に他人に自分の気持ちを教えることなんて滅多にないから、真っ赤になってしまう。
手に汗までかいて、俺は、本当、何をしているのだろう。


「はっはー。お兄さん、わかっちゃった。」
「何がや?」

「ぷーちゃん、お兄さんたちに恋愛相談したいんでしょ?」

「……………うん。」


二人の大爆笑があたりに響き渡った。


「ぷーちゃ…っ、あかんわっ、それ、あかんわ…っ、ぶふっ」
「まさかのプロイセンが恋愛相談っ!お兄さんもうだめっ、はははははっ」
「わ、笑うなお前らぁぁぁぁぁぁ!!!」


気持ちはわからないでもない。
だが、こちらは悩んで悩んで、自分じゃどうしようもなくなってこっぱずかしい話をしようとしているのだ。
これは酷い。

未だに笑い続けている二人を睨み付ける。


「〜〜〜っ!!!もう知らん!!
もういいっ!!お前らに言おうとした俺が馬鹿だった!!!」


そうして二人を追い出そうと髪の毛を引っ張った。


「いたたたたっ、ぷーちゃん悪かったってっ!
きちんと相談のるから!!!」
「そうやそうや!俺ら二人はその筋じゃプロフェッショナルやでっ!!」


二人は慌てながらそういったから、しょうがなく手を離してやることにした。


「あー、禿げるかと思ったで…。」
「いいから、とっとと相談にのれよ。」
「この子怖いっ」
「あー、相談のるから、ひとまず怒らんといて?な?」


二人がほら、と俺様が用意した菓子を俺に勧めてくる。
ここで気にするポイントは俺様が、用意したお菓子だと言うことだ。
…俺の機嫌取りに、それはあまり意味ないだろう、とは思うが少し大人げなかったな、と思い返してそのお菓子で妥協した。

クッキーに手を伸ばし、もしゃもしゃと咀嚼する。
その俺の様子に二人は胸を撫で下ろす。


「さて、なんだっけ。そうそう恋愛相談。」
「てか、俺ら、好きなやつがいることしか聞いとらんけど?」
「…あぁきちんと話すよ。」


二人もお菓子に手を伸ばしながら俺の方に視線を向ける。


「あのな、じつは…」
「これ、俺が作った方が上手い。」
「トマトジュースがほしいとこやな。」

「うがああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

「あ、ああ!すまんかったわぷーちゃんっ!」
「話の続きを…」


二人は本気で人の話を聞く気はあるのだろうか…。
確かに俺が付き合わせてはいるんだが、これは酷すぎると思う。

まあ、気を取り直して話を続ける。


「あのな、俺の好きなやつは俺を嫌いなんだ。
それで、いつも嫌みを言ってきて、俺も嫌がらせを沢山する関係なんだ。」

「そいつはひどいっ☆」
「望みなしやなっ☆」
「明日お前らの家の周りに腐ったヴルスト沢山セッティングしといてやるよ」

『いや、何か打開策があるはずだ(や)』


…本当にこいつらにそうだんしてよかったのだろうか。


「俺からは言うことは1つだね。」
「…なんだ。」
「押し倒せ。」
「あ、俺も全く同じ意見や!!」
「お前らに相談した俺が馬鹿だったよぉぉぉぉ!!!!!」


俺は絶望感を感じた。
こいつら、最低だ。


「いやまじでまじで!それで俺、イギリス落としたから!!」
「俺も!それでロマ落としたで!!」
「まじかよ………。」


え、なに、俺が知らないだけで押し倒して告白って今のトレンドなわけ!?


「やーもうロマったら俺にゾッコンでほんま困るくらいやで」
「あの眉毛もデレが破壊力半端ないんだよねー」


なんということだ。
俺が知らなかっただけで、押し倒して告白する、というのは、こんなにも成功率が高いものだったのか……!!!


「よ、よしっ!俺、押し倒す!!!!」

「おー、流石ぷーちゃん!!」
「ほら、餞別にこれをあげるわ。俺がロマとラブラブな秘訣やでっ!」


そういってスペインに持たされたのは、よくわからないボトル。


「これは?」
「恋のスパイスやでっ!
それを何かに入れて、相手に飲ませるんやっ!」
「そうか、わかった!」


俺は現金だが、話を聞いてもらって、物をもらったら、さっさと家を出ていってもらった。

だから玄関の家の前で、




「……今、ふと思ったんだけどさ。」
「なんや?」
「もしかして…あいつが好きなのって、オーストリア…?」

「……………。」
「……………。」

「えらいこと吹き込んでしもうたかも…。」
「………うん。」




そんな、二人の会話は聞こえていなかったのだ。

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