リク

□すれ違って  日米
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してると囁くとの











時々、日本が無理して俺にあわせてくれてるような気がしてたまらない。

例えば、この間。





「日本ー!!」
「はい、なんでしょう」
「二人で会議サボって海に行くぞ!!」
「え、ええ!?今からですか!?」
「もちろんだぞ!」


すると日本は少し悩んだあとで、渋々というように頷いた。


「これっきりですよ?」
「本当かい!?わーい!!」


このときは、本当に喜んで本当に嬉しかった。

でも後でイギリスやドイツに怒られたとき。


「すいません。私がきちんとアメリカさんを止めれたら…。」


って日本は言ったんだ。

やっぱり嫌だった?
やっぱり海なんて行きたくなかった?
やっぱり……俺と付き合って後悔してる?

……なんて女々しいことを考えてしまうんだ。
情けない。何がヒーローだ。




そして、今。
やっぱり俺なんていらないんだ、そう思った。

なんで?
だって日本が。
日本が。
俺、見ちゃったんだ。
日本が、イギリスと二人で会議サボってデートしてるのを。

俺とは遊びなの?
聞きたいけれど、聞けない。
はいそうですよ。
なんて、あの可愛い顔に満面の笑みで言われたら多分、俺は……。
俺は、どうなるか分からない。
どうなるんだろうか。
精神的な病にかかるのは間違いない…ような気がする。

なんて女々しい、弱々しい、情けない。

現在進行形で二人のデートをこの目で見ているというのに、何もできない。


「日本……。」


二人は笑いあいながらウィンドウショッピングをしている。
随分と楽しそうじゃないか。

今思い返せば、告白は俺からで、付き合うことになってからも好き好き言ってるのは俺だけで、日本には好きなんて言われたことがないような気がする。

だから自信がない。
日本は流されやすいから、きっと俺に流された、とか、逆らえなかった、とかなのかな……。
だとしたらショックすぎる。
他の人ともそうなの?
断れなかったから付き合って、断れなかったから付き合って……って。
わぉ、それ何股だい!?


「あ、喫茶店に入っていった……。」


まあ、偉そうに色々言ったところで何もできずにストーキングしているのが俺だ。
ちなみに俺は今日は具合が悪いと嘘をつき会議をサボった。
だってしょうがないじゃないか!!
心底愛してる恋人がだぞ?俺じゃない人とデートしてるんだ。
いつも頑張ってるんだから、その分サボったっていいだろう?

結局俺は二人が入っていった喫茶店に入った。
立派なストーカーだ。
恋人です、と言っても信じてもらえないだろう。
日本はそのときは……………止めた。
考えたら最悪の答えしか思い浮かばない。
きっと……

「そんな人知りません」

ってシラをきるんだ。
うわあああ、嫌だな……っ!


「はぁ……。」


ため息を着きながらも二人が座った席から丁度死角の場所に座る。
あんまり俺からも見えないけど、まあ、声が聞こえたらいいか。


「……だから困るんですよ…。」
「お前も余程だな…。」
「全く困りものです。アメリカさんは…。」
「ははっ、お疲れさんだな。あいつの相手は疲れるだろ。」


え、俺……?


「アイツ、我儘だからなー。」


……そうか、これはデートじゃない。
俺の愚痴会。
兄であるイギリスに愚痴を聞いてもらってた日本。
愚痴。
悪口。
俺の我儘に愛想を尽かした日本のストレスの、はけ口。
……そんなに我慢させてたんだね。


「いえ…アメ」
「日本、もういいよ。」


ばっと二人が驚いたように振り返った。
俺は自分の席をたって二人の側へ行った。


「アメ…リカさん…。」
「もういいんだ、日本。
俺、我儘ばかりで君は我慢してくれてたんだろう?
好きなのは俺だけで、君は俺に逆らえなくて、それか、流されて……だろ?
好きだよ。
愛してるよ。
だから。
だからこそもういいよ。
俺達別れよう。いままでごめんなさい。」


そう言って俺は瞳から涙がこぼれそうになっていることに気が付き、後ろを向いた。
そしてそのまま駆け出した。


「アメリカさん!!」


後ろで日本の声が聞こえた気がしたけど、そんなの無視して駆け出した。
店を飛び出、道路を駆けて、徐々に全然わからない道になっていった。
人気が全然なくなって段々心細くなってきた。
そこでふと立ち止まり後ろを振り返った。
やはり、というか、当たり前に日本はいなかった。

馬鹿か。
俺は馬鹿なのか。
心のどこかで追いかけてきてくれるものだと思ってた。
俺から捨てたのに。
俺から始めたのに。

そう思ったら堪らなくなって感情が高ぶって、心の許容容量をオーバーしてしまった。


「う、うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


涙が次から次へと頬に伝い、アスファルトに吸い込まれていく。

辺りに俺の泣き声が響く。
人通りが少ないと言っても、時々人は通る。
だけど、怪訝な顔をして通り過ぎていく。
冷たい。
冷たいんだ。
世界が冷たい。
でもそれが当たり前なんだ。
それが世界なんだ。


「うああああっああああああああああ!!ばかばかばかばかああああっ!!
本気で愛しちゃったんだぞばかぁぁぁっ!!!」
「私もっ!!!!愛してますっ!!!!!!」


驚きで涙が止まった。
後ろから、聞こえるはずのない声。
聞こえるはずのないあり得ない言葉。
きっと幻聴だ。
こんなとこにいるはずがない。
俺の作り出した都合のいい妄想だ。

そう半ば祈りにも近い感情で、油の切れたブリキのように後ろを振り替えると…………




息を切らせて、膝に手をつき汗をアスファルトに溢している日本がいた。




「けほっ、は…っ、はぁっ、あまり、老体に無理、は、させないでくださ、いっ」
「どうして……」
「どうしてって、本気、で、言って、る、んですかっ!?けほっ」


ひとまず、日本があまりにも苦しそうにしていたから慌てて近くの公園へつれていった。
さっき走ってる最中に見つけた人気の少ない公園。
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