ギャグ日 短編

□君を探しながら詠う御伽噺  鬼閻
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真夜中、部屋に響く時計の針の囁き。

語り紡がれる、そのお伽噺には、苦い、苦い恋情が混じる。


『バイバイ。』


最後は、あなたの悲しくも美しい声音で、物語りは幕を閉じる。
いつも、同じお伽噺。
僕は、このお伽噺に畏怖し、いつも眠れなかった。


「なんで、こんな夢を見るんだろう。」


尋常じゃない量の汗を流し、僕はベッドの上でただ、呆然としていた。

幼い頃から見続けている夢。
毎日見るわけではない。
1ヶ月に2、3回程度。
まるで、僕だけに、誰かがお伽噺をしているようだった。

この夢の登場人物は誰一人としてわからない。
目覚めると何もかもを思い出せなくなる、淡い夢。

夢から目覚めると僕にあるのは、ただひたすらに気が狂いそうな程の恋情。

わからないけど。
誰かわからないけど。


「……愛してる…」











君を探しながら詠うお伽噺












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