視線の先に

□#4 くろねこ
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光side

「・・・ーー・・・」
誰か俺をよんだ?
「・・・え?」
目を覚ました俺の隣の隣に座っていたのは
さっきまで遠くにいたはずの人が
立っていた。
「なに寝てんの。授業中でしょうが。」
「あんたやってさっきまで楽しそうにサボってたやないっすか」
「あっははー見られてた?」
猫を愛おしそうに撫でるとの距離は
彼女遠くはなかった。

昼下がりの日差しが
彼女の透きとおるような栗色の髪と
ネックレスに反射してきらびやかに輝いている。

「この猫ね、迷い猫なんだって。この子初めて見たって千歳くん?だっけ?あの人が言ってた。」
そんなこと正直どうでもよかった。
黒猫と戯れる彼女をただ眺めていたかった。

「財前くんってなんだか猫みたいだね、それも黒猫」
「突然何をいいはるんですか」
「いやぁ、この子の名前決めなきゃって思ってさ」
「・・・はぁ、それで?」
「この子さ、女の子なんだよね。そんでさ財前くんの下の名前って光だよね?」
「そうですけど・・・」
「だからね!ヒカリってどうかな?」

そう俺に向けられた笑顔は
どんな女優もどんなモデルもかなわない。
それほど美しかった。

顔が熱くなってどんな反応をしたらいいかわからなくなる。
腕の中に顔をうずめながら
「・・・まぁ、ええんとちゃいますん?」
としか答えることしかできなかった。
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