君と僕。

□チューリップの咲いた日
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時はさかのぼり


僕たちが幼稚園に通っていた時の冬・・・


チューリップを植えた鉢の前に春がしゃがみこんでいる


「しゅん何やってんの?」


後ろから悠太の声がして振り向くと悠太と祐希で傘をさし、要は傘をさしておらずコートとマフラーをしっかりと巻いている


「あっ たっ大変ですよっみんなのチューリップ鉢に雪がいっぱい・・・っこれじゃさむくて花なんか咲かせられませんよ」


春が手を真っ赤にさせながら言った


はやくのけてあげないと・・・っ」


要があきれて春に言う


「あのなーしゅん チューリップってのは案外強いもんなんだよ んなことしなくても雪がとけたら立派に芽ぇだすんだぞ」


春はおどろいて


「え――っそうなんですか?」


「わかったらホラ!さっさと中入んぞ!」






時は戻り穂稀高校の屋上・・・


ぐ〜〜〜〜〜〜〜〜〜きゅるきゅるきゅる


ぽかぽかの日差しの中に腹の虫が元気に鳴った


(おなかすいた・・・)


虫の主、春は幼馴染たちを一人待っていた


(悠太くんたち遅いなー 自販機こんでるのかな)



水筒のふたを開けたり閉めたりしながら待っていると





突然




バンッ



バタバタバタバタバタバタバタバタ


(うん?)


春が物陰から音のしたほうを覗くと女の子が息を切らしてきょろきょろと周りを見渡し、誰もいないことを確かめるとしゃがみこんだ


(1年生かな ちっちゃい)


女の子は膝をすりむいたのか息をふーふーとふきかけている


「あの」


見かねた春が声をかけるとびくっと肩を震わせた


「これよかったら使います?」


とバンソコを差し出した


すると女の子はギッと睨んできた


「え」


「よっけーなお世話!!」


ふんっと鼻を鳴らして走っていってしまった



「ちょ・・・っ あのっ」



「あのっちょっと とっ」


後ろから声が聞こえると思い後ろを振り向くと


「止まってくださぁ〜〜〜〜い」


と春が追いかけてきていた


「!!?」


止まって春に向き直り体制を整える


「えっと・・・これ」


と春が笑顔でバンソコを渡してきた


「やっぱり貼っといた方がいいですから」


女の子が受け取ったので屋上に戻る


(ああっ 今のでさらにカロリーを・・・っ)


ぐぅ――――


とお腹を鳴らせながら





〜翌日〜




「・・・・・・・」


春は自分の靴入れの前で固まっていた


「どしたの春」


悠太が聞いた


「えっと・・・なんかボクのげた箱に・・・」


「なんだなんだ 初ラッヴレターか?」


けーっ青くせーっなんて要がいいながらわらわらといつもの面々が集まってきた


要にいたってはにやにやと笑っている


「いえおみくじですけど・・・」


春が言うと


「おみくじ?色気ねえなあ」


要が言ってると春が開けてみている


大凶



その他全て最悪

『大凶・・・初めて見た・・・』


みどりがポツリとつぶやいた


「大凶―――っっ」


ショックを受けている春を悠太がぺしっと春の頭をはたき言う


「どう見ても手作りです本気にするんじゃありません」


「これまた不幸の手紙にも負けない斬新な・・・」


うわ――と言う要


「要くーん 全部最悪ですって〜 ホラ〜〜」


「あーあー気にすんな こんな幼稚なイタズラ振り回される方がアホくせーからな だいたい誰がやったかも見当つかねーし・・・」


要が途中で止める


後ろから不穏な空気漂ってきたからだ


振り向くと昨日の女の子が掲示板の影からこちらを睨んでいた



(あの子・・・?)



全員が思った
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