短い夢
□隣の席の要くん
1ページ/1ページ
「ねぇねぇ、要くん」
私は隣の席の幼なじみ要に話しかけた
「…………」
でも要から返ってきたのは無言という冷たいもの
「ねぇってば、おーい要くん」
今度はシャーペンで突っついてみる
でも相変わらず彼は無視する
「む〜、要くん聞こえてるでしょ?返事してよ」
「はぁ〜………なに」
長いため息のあとやっと彼が答えてくれた
「授業中なんだけど」
ものすごく迷惑だと顔に書いてあるよ、要くん……
「あのね、今日うちの親達居なくてね、夜ご飯がないの」
要くんと私の家はお向かいだ
なので親達が仕事でいないときは互いの家を行き来したりしている
「だからね、そっちに行ってもいい?」
ガタッと要くんが机を揺らす
クラス中の視線が要くんに注がれる
少し恥ずかしそうに咳払いをしてから小声で返答する
「お前クラスであんまそうゆうこと言うなよな勘違いされたらどうするんだよ」
首を傾げながら聞く
「勘違い?何を?」
「だから、お前んちと俺んちが交流があるって知らないやつの方が多いだろ。だから…俺とその、お前が……///」
要くんが顔を赤く染めて言葉を止める
「なに?」
「……〜っ///いい!なんでもない!」
ぷいっと顔を戻してしまった
それから何度呼びかけても返事してくれなかった…
「もう!要君のばかっ!
待っててって言ったのに!」
掃除当番を終わらせて教室に戻ると要君の鞄はなかった
悠太くんは部活だしなぁ、一人で帰るのかぁ…
なんて考えながら昇降口に向かう
「遅い」
コツンと頭を叩かれ顔をあげると要君がいた
「え、なんで…?帰ったんじゃ…」
ポカンと口を開けて見上げてると
「あぁ…、そう思ったんだけど…」
マフラーで顔を隠しながら言葉を詰まらせる
名前はふっと顔をゆるめて微笑んだ
「じゃあ、帰ろっか!」
「おう…」