君と僕。

□いつかの夏
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ピンポーン



今度はインターホンを押す


しばらくすると悠太が出てきた


「あれ、みどり?どうしたの」



不思議そうに首を傾げる



『お母さんのおつかい』


手に持っていたかばんを持ち上げてみせる



「あー…上がって」



体をずらし通り道をつくってくれる


おじゃましますと言って中に入った



『…………やっぱり、お金で動くような男じゃないんじゃなかったの?』



やや呆れながら帽子を脱いで言う



「あれ?みどりまだいたの」



画面から目を離さずに言う祐希



『もう…私はここに用があるの』



机の上にかばんを置き中身を取り出す



「いつもありがとうって言っといて」


悠太が麦茶を差し出して言う



『全然、こっちは大助かり!こんなに送ってもらってもたへられないし』



ありがとうと言ってコップに口つけながら返す



「悠太ーオレも飲みたいー」



目は画面に向けたまま祐希が催促する



はいはいと悠太はコップを持って行く





なんやかんやでお昼をご馳走になり一息ついてると三人の携帯が一斉ににメールを受信した



不思議に思い開けてみると千鶴からだった



なんでも今日近くで夏祭りがあるらしくみんなで行こうというお誘いのメールだった



『へえお祭りかぁ…ねえ行こうよ!』



みどりが興奮気味に言う



「えぇめんどくさい……」



祐希が机に突っ伏す


『えー…じゃあ悠太は?』



「うーん…オレは別に行ってもいいかな」



少し迷ってから言った



『よし、決定!千鶴くんに返信しちゃうね』



祐希もくるんだよ!
と念を押してから支度のため一回家に帰った




「おーーっ」



お祭りの賑やかさに思わず感嘆の声がもれる



「めっ目移りしちゃうねこれは…っ」



「ですよねー何から食べようか迷っちゃいますよねー」




千鶴は浴衣の女の子のうなじを凝視して



春は屋台を凝視して答えた




「っていうかおなかすいたー」



悠太にのしかかっている祐希がいう



一瞬祐希と目が合ったみどりは不機嫌そうにそらした
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