書物
□†桜の記憶†序章
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沈む夕陽に
同じ胴着に身を包む背中が赤く染まってる
(あぁ…まただ)
あなたは振り向いて言う
「薫…
薫が好きだよ!」
頬も全部赤いのは、夕陽のせいなのか…
まっすぐに笑うあなたの瞳。
(私…また昔の夢を見てる)
わかっていてもあなたの笑顔は胸が痛む。
同じ春を
同じ冬を
二人で一つずつ乗り越えてきたけれど
同じ空を見上げたのはこれが最後だった
そんな事は夢の中の二人は知らない
今も笑い合って握り返したあなたの手の温もり覚えてる…
痛いくらい愛しくて
温かかったことー…