陣 〜長編〜
□疑惑
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目覚めの悪い朝。
いつもなら真っ直ぐ吏将の部屋へ行くが、昨日の事や招待状の件もあって気まずい。
ウロウロしていると凍矢が…
「おはよう。吏将の部屋へ行こう」
「うん…」
憂鬱で仕方ないけど
凍矢と一緒なら少しは冷静になれるかもな。
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重い足取りで向かうと
「おはよう。早速だが今日の任務はだな…」
吏将は何事もなかったように仕事の話をする。
私に対しても普通だ。
それが返ってすごく違和感を感じる。
「陣と名無しさんでお願いしよう。いいな?今回は観察だけで結構だ。」
「…はい」
まさかの陣かよ。
もう全て丸投げしてしまいたい…。
「けけけ!また名無しさんと出掛けれるなんてラッキーだなぁ!今日はちと道草くっていこーべ!」
吏将の部屋を出るなりご機嫌の陣。
陣は私が居なくなって清々するからだよね。
吏将も気になるけど陣の方が掴めないし
正直行きたくない。
早く終わらせて帰ろうと。
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