陣 〜長編〜
□希望
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それからまた数ヶ月が経ち、私の心も平常心に戻っていた。
あの親子の件は頭の片隅から抜けきれないけど最近は抹殺する任務もなく安心して動ける。
その方が平和な気がしていいかもな。
そんなある日
いつも通り早々と身支度をし、吏将がいる部屋へ入った。
「おはようございます!」
「ん、やぁ。丁度良い所に来てくれた」
吏将は難しそうな書類やデーターを眺めている。
「早速だがこちらを見てほしい」
「はい」
壁に映し出された映像に目をやると、どうやら戦の最中のようだ。
だけど何か荒々しい。
「いいか名無しさん。よく見てみろ。この現場は少数の妖怪が住んでいる山村だ。俗に言う山賊が今、村荒らしをしているのだよ。」
「はい。ですけど…山賊達は村の妖怪達に圧されてますね。これから私達も加勢してこのまま山賊を追い払えば良いでしょうか?」
「いや、違う。私とお前は山賊達に手を貸してやるのだ」
「え???!」
山賊に手を貸す???!