陣 〜長編〜

□暗黒武術会 2
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ーーーーー大会2日目

本日は空き。
それぞれメンバーは行動を別にし明日の試合に備えていた。

(今日の第四試合目には前回優勝した戸愚呂チームが出るし見ておこう)

私はその試合が始まるまで、会場から離れた場所へと身を移した。


補欠だが私は一人猛特訓に励んでいた。




ーーーーーーーーー





「お?ねーちゃん一人かいー?」

私が木陰で少し休憩している時に三匹の妖怪が現れた。


「へへへ、結構いい女じゃねーか!オレ達と遊ぼうぜ?」


三つ目の痩せ型の男と大柄で角を二本生やした男、そして長身で目が一つしかない妖怪が私に近づいてきたが無視をした。


「おいおい、つれねーなぁ。」

「お前も溜まってるんだろ?いい事してやんぜ?へへ」


「………」


黙って場所を移動してもしつこく詰め寄る。


「おい!可愛くねーな!ツンツンしやがって!この!」

大柄な男が私の腕を掴んだ。


「さわらないで!殺すわよ」

私は掴まれた腕を振り切り妖気で威嚇したが怯まない。

「ふぅーん、こうなったら力ずくでやってやろう」

ニヤニヤした長身の男が私に攻撃を仕掛けた。
(気持ち悪いわね。なんなのよ…最悪!)

「兄貴!オレ達も手を貸すぜぃ!」


残りの二匹も便乗し3対1だ。




(まあ、いいわ。相手にもならないけど、これも特訓だと思って戦っておくわ)


私は四方八方に来る攻撃を交わし一人、また一人と倒していった。
手加減しているとはいえ残りの一匹は案外しぶとい。


「ねーちゃん、そんなんじゃオレ達は倒せねーぜ?大人しく観念しな!けけけ」




本当に面倒な展開になっちゃったな。


「これ以上しつこいと痛いめにあうわよ。今のうちに出て行って!」


私が言い放ってもまた再び攻撃を仕掛けてきた。


(もう!知らないからね!)


私は妖力を上げ冷静に相手の行動を先読みし、確実に仕留める。



「ひっ…!」


「どうする?死にたくないなら早く逃げた方がいいわよ」


いつの間にか私は魔界忍者の時の冷酷な自分に戻っていた。
先程まで強気でいた男もその表情に体が動かないようだ。


「たっ…助けてくれ…」


恐怖に怯え尿をもらすその姿を見ると殺す気も失せてしまった。

「早く消えて」

「はっ…はい…」


一目散に逃げる妖怪。
だが別の男が現れた瞬間その妖怪は息絶えた。


「お嬢ちゃん、爪が甘いねぇ。だが気に入ったよ」


その男は異様な妖気をもつ男。
そしてやけに酒くさい。


確かこの人…


「貴方、六遊会チームの酎…?」


「お!オレの試合を見ていたのか?こりゃますます気に入ったねぇ。あんたに惚れちまいそうだ。」



「残念だけど、私にはかっこ良くて、優しくて、強い大切な彼がいるの!あんたも殺されたくなきゃ消えなさい」


「まぁ、かたい事言わずにさぁ…いっってぇ!!」

酎が言いかけた所で今度はちびっこい妖怪が頭を蹴り上げた。

「おいおいーオイラ達は助けに来たんだろー?酎まで便乗したら意味ないじゃないかい!」

今度は鈴駆だ。


「ヒィック。まあ結果的には手助けの必要がなかったってのがダセーよな。オレ達。」




…この人達は助けに来てくれたのか。








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