陣 〜長編〜
□暗黒武術会 1
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暗黒武術会
それは闇の力を使い、富を築いた裏社会の富豪や実力者達がそれぞれ5名の魔性の最強メンバーを集めバトルを繰り広げる史上最悪の格闘技戦である。
その内容をよく知らないまま私は吏将に頼んで暗黒武術会の舞台、首くくり島へと目指した。
修羅の怪から【光】を求め、いよいよこの日がやってきたのだ。
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首が痛くなるほど【星】という物を眺めながら辿りついた先は港だった。
「ようこそお待ちしておりました!皆様そろそろ出航のお時間でございます。」
一人の男が現れ私達を出迎えてくれたのだ。船に乗り込むと沢山の妖怪達で既に賑わっていた。
「恐らく島へは2時間くらいで着くだろう。そしてこの妖怪達は今回戦う相手だ。くれぐれも油断するなよ」
吏将はキツく私に言い聞かせる。
「はい…」
最初は遠足気分で来たが、他の妖怪達を目の前にするとだんだん緊張感が出てきた。
「なぁなぁ!オレ船って初めてだべ!名無しさん、凍矢!船を徘徊しねーか?!」
やはり、このような状況でもわくわくしている様子の陣。
「そうね。」
私、真面目すぎる所あるからすぐプレッシャー感じちゃうのよね。少しは陣みたいにラフにいかないと…!
「名無しさんが陣に乗るなんて珍しいな」
凍矢は物珍しそうに私の顔色を伺っていた。