陣 〜長編〜

□修羅の怪
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「吏将!任務完了しました。」



「ご苦労。さすが名無しさんは仕事が早いな。今度は陣と出動してもらう。頼むぞ」



「はい」






私は今、ある戦闘集団の中でも最も世間では恐れられている【修羅の怪】に属して毎日任務をこなしている。


その名の通り任務の為なら誰かを殺めるのは惜しくもない。
私達は【魔界忍者】なのだから。




家族もいない私は他人に情を湧くすべを知らないから冷酷にもなれるんだと思う。


ただ他のメンバーとは違って特別な能力はないが身寄りのない私を快く受け入れてくれた吏将に認められたくて、みんなの力にもなりたくて、がむしゃらに頑張ってきた。





「名無しさん。少しは休んだらどうだ?このままだと倒れるぞ」



「大丈夫よ!凍矢。心配しないで!」



凍矢は一見クールにみえるけど本当は心優しい人。周りにも気を配ってくれるから一緒にいて安心できるの。



「お〜い名無しさん〜!ご飯も用意し終わった所だし、出る前にちゃんと腹ごしらえはしないとダメだよぉ?」



「ええ!貴方も忙しいのにいつもありがとうね。画魔!」


和やかにみんなを包み込む画魔。
昔から家族だったみたいに癒やされる。



「ったく女なんかに任せる吏将が信じられねーぜ。わざわざ陣とこいつを使わなくても俺一人でやれるっつーのに」



ぶつぶつと愚痴をごぼすのは爆拳。
私が来た当初から気に食わないよう。
確かに体を霧に変えて戦う戦闘はかなり有効だけど単独的で荒い性格がたまにキズ。
裏を返せば頭脳戦の凍矢や画魔と加わればバランスがとれるのでよくこのメンバーで動く時が多い。




「名無しさん!あと1時間後に出動だ。それまでコンディションを万全にしておくように。」


吏将は爆拳の言葉は聞き流し私の肩に手をおいた。


「明日からはまた忙しくなる。これが終わったら充分に睡眠をとれ。いいな?」



吏将はこの組織の頭。
それでいて頭もキレて今まで失敗も恐れずに着々と成功してきた。
仲間の中でも一目置いて信頼している方だ。


女の私が任務を任せてもらえるのはきっと今まで頑張ってきたのを見てくれてたから…。


最近になって吏将はよく私にも声をかけてくれるようになったし、この期待を裏切らないように今回も必ず成功させなくては…!!!!
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