陣 〜長編〜

□疑惑
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「早く行くわよ」


準備万端にし、気を引き締めた。


(今は全て忘れよう。任務の事だけ考えて…)



「おっし!行くべ!捕まってけろ!」



「私は自分の足で行くわ!陣は先に向かってていいから」



笑顔で交わすが…



「いいっちゃ!遠いからオレと風に乗った方が早いべ!」


そう言うと毎度お馴染みのお姫様抱っこで上空へと連れ去った。




「離してよ!人が嫌がる事はやめてよ!」



私はキツく叱りつけた。

今日は恥ずかしいんじゃなくて本気で嫌!





「すぐ着くからもう少し待つだよ〜!」





優しくしたって私は見抜いてるんだからね。



やっぱりやっぱり陣は【気分屋】なだけだと。





―――――――――







今日の任務は簡単だった。
言われた通りただ相手の動きを観察するだけ。





それに前に吏将と同盟を結んだ山賊達が威勢を上げて武力争いをしていた。




――「今回は私達は手を下さなくても勝手に始末してくれるだろう。君達はただ観察すれば良いのだ」――





吏将はそう言ってたけど、私達が行かなくても済みそうなのに。



こんな任務は初めて。








(でもこれで帰れる!!)



「じゃ、陣。帰ろうか!」



「なんちゃ〜。こんだけだか〜?そんなら余った時間は自由に潰せるべな!」




「あっそう。私は帰るわよ!陣はお好きにどうぞ」





冗談じゃないわ…!
私はさっさと帰らせてもらうから!




「なんだか冷てーだなぁ。」



「そう?別に何もないけど」





冷たいって貴方が悪いんじゃない。




怒りがフツフツとこみ上げてくる。








「さよなら!」






怒りにまかせてキッパリと陣から離れた。
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