ロー長編

□キミとソラ
1ページ/1ページ



ドクンドクン




(やっと 見れる)




聞こえそうなほどの 心音

胸に手を当てて深く呼吸した



「開けるぞ」


ギイっと音をたてて扉が開くと
眩しい光とともに青が目の前に広がった


少女は一歩また一歩と歩くとその場にしゃがみこんでしまった


「どうした?」


いきなり座りこんだ少女の顔を除きこむと…

「!?」

その顔は涙で濡れていた

『…ひっく…ぅう…やっと 見れた』


「は?」


『あお…ずっと見たかったんだ…
あそこは、戦場は…赤と黒しかなかったから…。』


大きな瞳から涙がこぼれ落ちるのを見ると ローは可笑しくなりそっと彼女の頭をなでた


「これからいくらでも 見せてやるよ…ゼ…」

(そうか、コイツ名前が、)


「…そうだな お前の名前は“ソラ”だな」


『へ?…ひっく…名前?』


「ないんだろ?だから“ソラ”だ 。 文句あるか?」


少女は、小さく首を横にふった


(私の…名前…)


青く澄んだ空と海をバックに
ローを見ると何故かすごく落ち着いた

『わたし…仲間になって いいのかな』


「なれっていってんだろ」



(…なかま…)


涙が一つこぼれ落ち、ソラは自然と笑顔になった


『ありがとう』


ローは笑って また私の頭をなでてくれた


ありがとう
と、もう一度つぶやき ソラは小さくうなずいた。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ