ロー長編
□キミとソラ
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ドクンドクン
(やっと 見れる)
聞こえそうなほどの 心音
胸に手を当てて深く呼吸した
「開けるぞ」
ギイっと音をたてて扉が開くと
眩しい光とともに青が目の前に広がった
少女は一歩また一歩と歩くとその場にしゃがみこんでしまった
「どうした?」
いきなり座りこんだ少女の顔を除きこむと…
「!?」
その顔は涙で濡れていた
『…ひっく…ぅう…やっと 見れた』
「は?」
『あお…ずっと見たかったんだ…
あそこは、戦場は…赤と黒しかなかったから…。』
大きな瞳から涙がこぼれ落ちるのを見ると ローは可笑しくなりそっと彼女の頭をなでた
「これからいくらでも 見せてやるよ…ゼ…」
(そうか、コイツ名前が、)
「…そうだな お前の名前は“ソラ”だな」
『へ?…ひっく…名前?』
「ないんだろ?だから“ソラ”だ 。 文句あるか?」
少女は、小さく首を横にふった
(私の…名前…)
青く澄んだ空と海をバックに
ローを見ると何故かすごく落ち着いた
『わたし…仲間になって いいのかな』
「なれっていってんだろ」
(…なかま…)
涙が一つこぼれ落ち、ソラは自然と笑顔になった
『ありがとう』
ローは笑って また私の頭をなでてくれた
ありがとう
と、もう一度つぶやき ソラは小さくうなずいた。