長編
□生け贄
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村へと続いている森を抜けると、大きな洞窟があった。
「ここが…竜神様のいる…。」
ごくり、と喉が鳴り足が震える。進まなきゃ行けないのに、今更になって怖くなってきた。
(だめだめっ!村のためだもん!覚悟を決めなさいレビィ!!)
自分を奮いたたせ、ようやく一歩を踏み出した。
その時
「おい。そこで何してやがる。」
背後から誰かの声が聴こえ、レビィは体をびくつかせる。
恐る恐る振り向き、声の主を確認しようと俯いていた顔をあげた。
「ー……竜神…様…?」
真っ黒な長髪。真っ赤な瞳。がっしりとしたたくましい体。手足には竜の鱗。だけど竜というには程遠く、その姿はまさしく……。
(…人…間みたい…。)
「おい。なにジロジロと見てやがる。」
思わず見とれてしまっていたレビィに、男は不機嫌そうに声をかける。
「質問に答えろ。お前は誰だ。」
「わ…私はレビィ。あなたの生け贄としてここに来ました。」
生け贄?と男が聞き返し、レビィをじろじろと見ながら近づいてきた。レビィの目の前までくると大きな手が伸びる。
(嘘……食べられる…っ!!)
レビィは体を強ばらせ、目をぎゅっとつむった。恐怖のあまり目尻からは涙が伝い落ちる。
カタカタと震えるレビィを見た男は伸ばした手を一度引っ込め、レビィの頭をぐしゃぐしゃと乱暴に撫でた。
「きゃっ!な、何!!?」
「んなに怯えてんじゃねぇよ。すぐに喰いやしねぇよ。てめーみてぇなちんちくりん。」
「ちっ、ちんちくりん!!?」
「それにいちいち泣きそうになってんじゃねぇよ。鬱陶しいガキだな。」
「なっ////!!?」
(なんなの!?こんな失礼な人が竜神様なの!!?)
さっきまでの恐怖心などはどこかへ行ってしまい、怒りだけが込み上げた。
「腹の足しにはならねぇが…奴隷としてはいいだろうな。」
「どっ、奴隷!!!?」
男はニヤリと笑いまたレビィをじろじろと見た。
「ま、せいぜい働いてくれや。よろしくな。チビすけ。」
ふっと鼻で笑ったあと、男は洞窟の中へ戻っていく。その後ろ姿を見ながらレビィはわなわなと震え、拳を力強く握りしめ叫んだ。
「じ…冗談でしょー!!!!?」
これが少女レビィと、竜神ガジルとの運命の(?)出逢いであった。
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はじまりましたね…第一話。
初めての長編に挑戦(^q^)書くの遅いくせにこの野郎←
駄文ですが最後までお付き合いいただけると幸いです。
頑張ります!!!