捧げ物、頂き物

□じゃあ、うん
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「ほらよ」

「え?」

手渡されたそれは、紛れもない位にジャージで。どうしようもなく、見間違える筈もなくて。


「着ろ」


いつも通りの筈だったガジルが、不意に違う人のように錯覚して。余計に分からなくなって。レビィは思わず手渡されたジャージを見入ってしまった。





じゃあ、うん




橙色のスカートがふわりと自分の目の前で舞った。

マグノリアの本屋の一角。彼女、レビィは周りなど気にもしないかのように高い位置にあるらしい本を取ろうとして、でも身長が足らなくて。ぴょんぴょんと跳ねる様はまるで。


(うさぎか……)


ぴょんぴょんぴょんぴょんと何度もその場を跳ねて。スカートがふわりふわりとその場で大きく揺れる。それに注目していたのは、どうやらガジルひとりではなかったようで。


「取れない……」

「これでいいのか?」

「あ、え、が、ガジル……!!」

不意に、まるで自分を覆うように背後に覆い被さった黒いそれは、どうしようもないくらいに意中の彼で。なんで、とかどうして、とかよりも。嬉しくてしょうがない自分がそこにはいて。


「うん、ありがとう」

「別に」

「ガジル……なんでここに?」

「いいから早く買ってこい」


レビィは思わず自分の抱く本とガジルを見比べた。買いに行ったら、いなくなっちゃうかな。なんて、私の片思いだなんて分かってるけど。折角偶然逢えたんだし、これから一緒にお茶でもどうとか。……もんもんとする。

うん、やっぱり折角逢えたんだし、お茶ぐらい。誘おう。うん、私頑張れ、私!!

「あの、ガジルっ……!!」

「ほら、よこせ」


ガジルがぱっと何気なしにレビィの手から本を奪い、さっさと会計を済ましてしまう。

あぁ、もう。彼は何回私に惚れ直させてくれるつもりなんだろう。


「本と、あとこれ」

「……??なにこれ」

「いいから、はやく受け取れ」

「え、でも……」

「履け」

「え?え?」


展開に、着いていけなくなる。手渡されたジャージが、理解出来ない。履けの理由も、分からない。

「いいから、履け。履かせて欲しいのか?」

あん?と、なんとも不穏な台詞に顔に火がつく。

なんか、よく分かんないけど。 でも、でも私だってやられてばっかりじゃいられないんだからね。私だって、君の困った顔が見たいんだからね。

そんなストレートな台詞、ガジル本人にはどう頑張っても言えないけど。言えないから。


「じゃあ、うん」

私も恥ずかしいけど、ガジルも恥ずかしいなら、いいや。なんてね。












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サカサマサマーサイダーの管理人さまーさいだー様からいただきました!!!
Twitterで大いに盛り上がってしまいまして、いきおいでリクエストしましたら本当にいただいちゃいました!!!

さまーさいだー様!!本当にありがとうございましたぁぁぁぁぁぁぁ!!!

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