長編
□ガジル
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「おいちび。洗濯終わってねぇのかよ。」
「ちび。湧き水汲んでこい。」
「腹減った。なんか作れ。」
レビィが竜神のもとへ来てはや1週間。
毎日のように男にこき使われるレビィは、ヘトヘトになっていた。
「も……もう無理だよ。ちょっと休憩ー……。」
「なんだ?もうへばったのか?俺に突っかかってきた割には根性ねぇんだな。」
「なっ……!!!」
ちょっとでも休息を取ろうとすると、このように馬鹿にされてしまう。
頭にきたレビィは再び動き続けるという、体力的にキツい生活が続いていた。
「ほんっっっっとムカつくー!!!!!」
任された大量の洗濯物を力任せに洗いながら、レビィは怒りをぶつけた。
「なんなの!!?あんなのが神様だなんて!!!しかも人の事こき使うくせに文句ばっかり!!!」
うちの村は本当に大丈夫なんだろうかと、違う意味で心配になる。
(村に……帰りたいな。)
暖かくて優しかった村人のみんなを思いだし、レビィは涙を流す。
最初は食べられるかもしれないと怯えていたけど、それすらも馬鹿馬鹿しくなってきて、今は怒りと虚しさだけが残る。
「……よし。逃げよう。」
この1週間男を観察していたレビィだったが、決してレビィを監視している素振りもなく、むしろほったらかしだった。
まるで逃げてくださいと言わんばかりで。
(一度生け贄にされると戻って来られないって嘘じゃない!)
この好機を逃してはならないと思い、レビィは森の出口に向かって走り出した。
「……!」
かすかに風が吹くのと同時に、昼寝をしていた竜神の顔色が変わった。
「……っあの馬鹿!!!」
大きな翼を広げ上空へと羽ばたく。
辺りを見回し、木の間から見つけ出した青い影。
そこを目指し急いで降りていった。