長編

□ガジル
1ページ/3ページ


「おいちび。洗濯終わってねぇのかよ。」
「ちび。湧き水汲んでこい。」
「腹減った。なんか作れ。」

レビィが竜神のもとへ来てはや1週間。

毎日のように男にこき使われるレビィは、ヘトヘトになっていた。

「も……もう無理だよ。ちょっと休憩ー……。」

「なんだ?もうへばったのか?俺に突っかかってきた割には根性ねぇんだな。」

「なっ……!!!」

ちょっとでも休息を取ろうとすると、このように馬鹿にされてしまう。
頭にきたレビィは再び動き続けるという、体力的にキツい生活が続いていた。


「ほんっっっっとムカつくー!!!!!」

任された大量の洗濯物を力任せに洗いながら、レビィは怒りをぶつけた。

「なんなの!!?あんなのが神様だなんて!!!しかも人の事こき使うくせに文句ばっかり!!!」

うちの村は本当に大丈夫なんだろうかと、違う意味で心配になる。

(村に……帰りたいな。)

暖かくて優しかった村人のみんなを思いだし、レビィは涙を流す。
最初は食べられるかもしれないと怯えていたけど、それすらも馬鹿馬鹿しくなってきて、今は怒りと虚しさだけが残る。



「……よし。逃げよう。」

この1週間男を観察していたレビィだったが、決してレビィを監視している素振りもなく、むしろほったらかしだった。

まるで逃げてくださいと言わんばかりで。

(一度生け贄にされると戻って来られないって嘘じゃない!)

この好機を逃してはならないと思い、レビィは森の出口に向かって走り出した。






「……!」

かすかに風が吹くのと同時に、昼寝をしていた竜神の顔色が変わった。

「……っあの馬鹿!!!」

大きな翼を広げ上空へと羽ばたく。

辺りを見回し、木の間から見つけ出した青い影。

そこを目指し急いで降りていった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ