最強のレジスタンス

□「恋」
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皐Side


「…楽君…か」


不思議な人…今日会ったばかりなのに、数ヶ月一緒に居たみたいな感覚…


それに…優しい…人


ちょっと唐突に行動を起こしたりして大変だけど、私は楽しかった


「ただいまぁ…」


私は考え事を止めて、家に入る


すると玄関で私に向かってお父さんとお母さんが仁王立ちしていた


「…は、はろぉ?」


私はとりあえず…挨拶をしておきました





数時間後


「…すみません…」


お母さんとお父さんに、こんな夜遅くまでどこに行ってたのかについて怒られていたけど、私が謝ってやっと許してくれた


「…あ、ねぇ…母さん、父さん、…東條 楽って知ってる?」


私が発した名前を聞くとお父さんとお母さんが私をまじまじと見つめて…


「知ってるも何も、彼の父さんと俺は古くからの友人だよ」


と、父さんが言った…


「…はい?」


………


「えぇぇえええっ!!?」


この日、霧羽家から皐の叫び声が木霊したという……




「こら、うるさいよ皐」


お母さんが私の頭をコツンと叩く


「だって…!!びっくりもするよぉ…」


だから楽君、まじまじと私の家を…


「…そうか…皐も遂に楽君に会ったか」


お父さんは真剣な表情でそう言う


「彼は…まぁ黒い噂は絶えないし、その噂も間違っちゃいない、何たって親が極道だからな」


私はその言葉を聞き壁に顔をぶつける


「ごごご…極道…!?」


「でも…楽君も、あいつ……楽君のお父さんも、まぁ、根っからは悪くないんだ、優しい所もある」


お父さんの言葉に私は頷く、楽君が優しいって事は、知ってるつもりだから…


「まぁでも…悪に変わりはないから普通に喝上げとかやってるんだが……楽君は強いよ」


「…うん」


実際、楽君は傷一つ付かないで、あの子犬を助けてた…


「…有難う…じゃあ私もう寝るね、今日は何か疲れたし…ご飯もいらないから」


私はさっさと二階にある自室に入ると、真っ先にベッドにダイブするのであった…



楽Side


ここ、東京の一区の三分の一は占めるであろう広さがある、俺の…屋敷


「坊っちゃん、お帰りなさいませ…」


屋敷に帰ると執事の糸太 泰三(いとだ たいぞう)がそう言った


『…ただいま…』


俺は糸太のふさふさした白髪を撫でて、歩き出す


「坊っちゃん、今日のご予定は…父上との面会ですな…楽しんできてください」


『…ん』


俺はそう呟いて、ずっと先にある高い天井を仰いだ…



『…失礼…します』


俺は重く大きな扉を開けて中に入ると、そこには細長い机があり、その机の真ん中に父上は座っていた


『……』


だから俺は、父上と向き合うように父上とは逆の席に座る


「……久しぶりだな、元気か?」


『……あぁ』


それから数十分、父上が俺を見ながら口にする


「何か良いことでもあったか…?」


ギクッ


『…い、いや……べつ…に』


俺にしては珍しく、取り乱してしまった


「はっはっはっ!!!さては楽…お前、恋でもしたな?」


『…恋?』


…恋?故意?…鯉?


『…食べてない』


その言葉に父上は椅子から落ちた


「そのこいではない!!!人を好きになる感情の方の恋だ!!!」


父上は軽く…というかキツく怒鳴るとまたニヤニヤした顔付きになって話しかけてきた


「実際、どうなんだ?」


『……ん』


一度空を仰いで、考えてみる


―あ、あの、私、霧羽 皐(きりはね さつき)って言います…//その、本当にありがとうございました!!////―


―…ふふっ、そうですか―


…あ…れ…?


―…はいっ…友達―


いつの間にか…俺は…


―っ…!//ま、待って下さい…//痛いですよ…!!///―



…彼女しか…皐の事しか…考えられなくなってた


『…恋…』


「ほぅ…相手は?」


父上は片眉を上げて興味津々に問い詰めてきた、正直鬱陶しい


『…霧羽…皐、俺も最初…ちょっと焦った…』


父上は俺の話を聞くと立ち上がり、めっさハイテンションで部屋を出ていった


部屋の外でパーティーだァァァァァァ!!!

と叫ぶ父上の声は、本当に錯覚だと思いたい…
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