恋愛方程式。
□初めてってなんとなく気まずい。
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「誰。」
今度ははっきりと冷たく言った。
「誰ってこっちがききて―位だよ。誰だ、アンタは。」
きっとその人は声が低いから男の人であろうと思った。こんな声の低い女なんて居る気がしないし。
「私はただの通りすがりの人間です。お気になさらず、どうぞあちらへ逝ってください。」
「オイーーー!漢字違うよ、それ死ねって意味ー!!?」
「・・・別に。」
「お前結構冷血なのな。じわじわと悲しみが浮き上がってくる…」
「そんなことはありませんよ。」
そのあと軽く沈黙が続いたが、彼がその沈黙を破った。
「・・・・・っつーかオメー、女か。」
ひょい、と彼は私を見下ろした。
アタシはいきなり視線を感じたのでつい彼の居る方向に振り返ってしまった。
目と目が合った。
彼は透き通るような天パの銀髪の頭に紅い死んだ目をしていて、でも顔立ちは整っていた男の人だった。
私は不覚にも彼のことを美しい人だと思った。
「まさか…お前か?」
「はっ?」
いきなりあんなこと言い出すから、私はつい素っ頓狂な声を出してしまった。
「いや、表で天人達が騒いでたからよ。
女は何処だってね、もしかしたらとか思っちゃったり。」
「は、はぁ。」
なんと返事していいのか分からなくて、私はずっとそんな感じだった。
そんなことより、雪が積もってきてて寒かったし。
「さむ・・・」
つい小声でそんなことを言ってしまったら、彼はいきなり私の横に座りだしてコンビニ袋をガサゴソといじり始めた。
私は何してんのか分からなかったから彼の行動を見つめるだけだったけど。
「ん。」
と言って渡してきたのはあんまん。(半分)
「え、なんで」
「なんでって、寒いだろうし。」
「えっいえ、結構です。食料が無くなります。」
「嫌だ、俺のプライドが許さねぇし。」
…不思議な人。
「じゃあ、も、もらいます。」
「おー、食え」
「…あ、おいしい」
何かはわからないけど、寒い中で食べたあんまんはおいしかった。
「なんか、すんません。」
「いーっていーって。」
そうやって、彼は笑っていた。
私はずっと同じ体勢だったので、体育ずわりをしようとした。
足を少し動かしただけなのに、激痛が走った。
「い゛!!! ・・・ったい・・・」
「! …お前、足血流れてんじゃねーか。大丈夫か、立てんのか?」
「いえ…、怪我してんの、忘れてただけなん、でっ…」
そう言って立ち上がろうとしたときに、私は貧血で意識を手放した。
あぁ、鈍臭いな。