恋愛方程式。
□初めてってなんとなく気まずい。
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「はぁ…はぁっ…」
あれ?何で私走ってんだっけ。
あ、そーだ。追われてるんだ。天人に。
「い、った、い…」
あれ、私何時の間に足に怪我したんだっけ。
あ、そーだ。斬られたんだ。逃げられないようにって。でも逃げてるんだけどね。
私は近くにあった建物の角を曲がっていった。
どーやら運良く天人は見失ってくれたみたいで。
私はそこら辺にあった墓の物陰に隠れて身を潜めることにした。足を休めるのにもね。
「はぁぁ・・・
足は痛いしオマケに雪が降っているなんて。ついてないな。」
今日の江戸には白い雪が降っている。今は冬。キレイな白だなぁ。何一つ汚れてない。
でも、私の足の傷口の上に落ちた雪は、赤く染まって溶けてしまった。
そんなことを考えていたら、後方から足音が近づいてきた。
ザッ…ザッ…
…ヤバ。人が来る。
もう見つかったのか。
天人なのか、ただの通りがかりの通行人かは分からないが、おそらく天人だろう。
だってこんな寒い中お参りに来る人なんて居ない気がする。
ザッ…
音は墓の丁度後ろで止まった。
彼(彼女か?)は私が居るのに気づいているのだろうか。
ていうかそもそも人間なのかが私には問題だ。
「・・・誰か居るのか?」
ええ。居ますよ。キモイ外見をした方々に追われている自分が。
「・・・誰。」
消えそうなくらい小さな声で、でも堂々とした声色で私は言い放った。
これが、私と彼の出会いだった。