short dream

□赤い果実
1ページ/1ページ

燐たち高3設定















「ゔぁ゙ぁ゙っ」

と、うなり声を机に突っ伏しながら出した。


今日は、塾がない。
そして学校もない。なので私は彼氏の家に遊びに来てる。
でも彼は丁度、飲み物をとってくるといって出ていってしまった。私は燐の机の上に座っていた。
けれど私は今、腹痛に悩まされている。そう、あの女の子は分かる、月に一回くるレディースデーだ。

私は結構痛みが強いほうで、今日は起き上がるのも辛いくらいだった。




ふと、彼のベッドが目に入る。
正直今すぐ横になりたい。


私は座っていた椅子から雪崩れ落ちるように降りて、そのままベッドの前に行き頭だけをぼふっとベッドにのせた。

柔らかい。本当は横になりたいけど…





あぁ、燐の匂いがする……


「雲雀ー? って、おい!」
「なにー? おかえりー…」


コップを抱える彼の顔はとても驚いてるようだった。私は弱々しく返事をする。


「なにーじゃなくてよ、何やってんだよ」
「ん、お腹痛い」
「は? 腹? 大丈夫か? 薬あるけど」
「いや、いい」

抱えてたものをおき、私の横に座ってくる。そして優しく背中を擦ってくれた。
こーゆー彼の優しさが、私は好き。


「なんか変なものでも食ったんじゃねーの?」
「違うよ……女の子の日……」
「女の子の日ぃ??
………………あ、あぁ、それか、そーゆーことか………」


最初は不思議そうな顔をしてた燐も、理解をしたら気まずそうに返事をした。
私は彼を見ていた顔を再びシーツの中に埋めた。



「それ、なおんねーの?」
「うん…薬飲んだけど、治んなかった……」
「家で寝てれば良かったじゃねーか」
「…だーって、燐に会いたかったんだもん」


私がすこし拗ねたように言えば、彼はふわりと笑って、そーか、と言った。私はうん、と返す。

燐の大きな手が私の頭を撫でた。
それが妙に気持ちよくて、目を瞑った。




「少し寝ろ」
「やだ。」
「なんで」
「せっかくきたのに」




「俺が隣にいてやっから」
「んー…まぁいっか」



私はベッドに潜り込んだ。燐は私の枕元に座って、私の頭を撫でる。



「燐がさー?」
「ん?」
「燐がおとうさんになったら、こんなかんじなのかな?」
「ばっ……!!」


真っ赤な顔をして私を見る燐。私は、やりー、とにんまり笑顔を作った。
バツが悪そうな顔をしてからため息をはぁとついた彼は少しだけ、大人びて見えた。
始めて会った時は、私にとってすごい不思議な人だった。第一印象は、吃る人。何もかも分からないし頭が悪いし、そしてサタンの息子。
でも、私は別に気にはしなかったから、今までどおり普通に会話していた。それが、その時の彼の心に染みたのか、私が好きと言ってきた。確かそれが1年生のとき。
もう、付き合って2年かぁ、としみじみと思った。




「燐の子供ってどんな感じかな」
「えー…せめてサタンの血はひいて欲しくねぇなぁ」
「目とか燐に似てつり目そうだなぁ」
「つり目で何が悪いんだよ!」








「燐の子かぁ………

誰との子供なんだろ…」
「…………」



少しだけ声のトーンを落として私は言った。頭を撫でるのをやめた彼の手は、今度は私の髪を梳く。


「私は…思い出になっちゃうの?」


何故か無性に悲しくなって、私は枕に顔を埋めた。私の涙は枕に吸収された。
泣き虫な私にとって泣くとは涙が零れなければ泣いたとは言わない。



「雲雀、顔上げろ」

不意に頭上で優しい声が聞こえた。
私を呼ぶ声だ。

枕に埋めていた顔を少しだけ燐の方に向ける。彼は微笑みながら私を見つめた。それが心に刺さって、私は少し顔が火照るのを感じた。



「俺はお前を思い出になんかしねーよ」
「…ホントに?」
「だって俺、お前より好きになれる奴いないって思ってるし」

「燐ってさらっと平気でそーゆー事いうよね」
「それはこっちの台詞だバカ」
「バカって言う方がバカなんだよ」
「あ、お前も今バカって言った」


頭の横にあった私の手を優しく握る彼。細くもしっかりとした男の人の手だ。私の手は昔から何も変わってない。


「今は俺も未熟だけどよ、俺多分、お前以外好きになれねー。
でも、雲雀が他に好きな奴できてそいつと幸せになりたいって思うなら、俺は雲雀の幸せを願うよ」
「…じゃあ燐は、私を置いてどこかへ行ったりしない?」
「しねーよ。もし絶対いかなきゃいけなくても、俺はお前を置いてどっかにいかないから」



小さい頃に交通事故で両親を亡くした私は、周りがいつか私を置いて何処かに行ってしまうような気がして仕方がない。
それが怖かったから、私は周りとの必要以上の接触を避けていた。

塾では、それを遮れなかった。馴れ合わないと祓魔師はやっていけない。だから私は恐怖心を捨てて、何にも励んだ。
勉学にも、なんでもやった。その努力を見ていた燐は、私を抱きしめて、自分にも辛さを分けて欲しいと言ってきた。
なんでも一人で抱え込んでいた私は、その言葉が何より嬉しくて、嬉しくて。




ああ、今、あの時と同じだ。
時間が止まったみたい。この甘い雰囲気に酔ってしまいそう。









「雲雀、大学過ぎてからでいい。それまで俺待つからさ、結婚しよう」



まっすぐな目でそう言われた。その視線を逸らせなくて、私はただただ混乱するだけ。


「…本当に、私でいいの?」
「俺は、お前がいい。雲雀が良いんだ」

胸がドキドキする。そのせいで、お腹の痛みも忘れてしまっていた。顔が燃えそう。熱い。


「…っ、よろしくお願い、します」



まともに彼の目が見えなかった。恥ずかしすぎて、私は言った直後にまた顔を枕に埋めた。
燐の匂いがする。これじゃまるで燐に包まれてるみたいだ。


ちら、と顔をあげて彼を見た。
燐もすごくドキドキしたみたいで、私たちはお互い顔を真っ赤に染めて、笑った。






赤い果実


































----

なんだこりゃ。
小説はノリで作るもんじゃないな


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ