short dream

□出会ってくれて、ありがとう。
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小鳥の囀りが窓の外から微かに聞こえる朝。

布団から出るのも、なんだか辛く感じる。
太陽の陽射しが、部屋の奥まで届くようになり、なんだかもう冬だと感じる季節となった。




12月。

12月といえば、クリスマスイヴに、クリスマス、天皇誕生日、そして冬休み。
休みがいっぱいの時期だ。


そして、燐と雪男くんの誕生日。
ちなみに燐は、私の彼氏である。


…とは言っても、まだまだ先。
あと17日後位?
こんな早くに何するのってカンジであるが、私は早く二人の誕生日を祝いたい。

…と、言うよりは、二人の誕生日プレゼントを買いに行きたいと言ったほうが正しいだろうか。


今日は、しえみちゃんと誕生日プレゼントを買いに行く。
もちろん、燐と雪男くんの。
フツー買いに行くのメンドクサイって人も多いかもしれないが、私はそんなこと一々気には止めない。
というより、むしろ相手のプレゼントを買うだなんて、とても楽しいことだと私は思ってる。
何故なら、相手の喜ぶ顔を思い浮かべるのが好きだから。

現在の時刻朝9:30。
待ち合わせ時間は11:30。
楽しみだったのか、ちょっと早く目が覚めたので、ゆっくり支度しよう。

私はベッドから起き上がり、顔を洗いに洗面所へ向かう。

まだ頭が起きてなくて、ぽーっとしながら歯を磨く。
後ろからペタペタと歩く音が聞こえて後ろを向けば、出雲ちゃんがいた。

「んぁあ、いふもはん。ほぱよう
(あー、出雲ちゃん。おはよう)」
「おはよ。てゆーか口ゆすいでから喋りなさいよ。何いってるか全然わかんないんだけど」
「ほあほほいへあ「だから何言ってるか分かんないって言ってるじゃない!」

んー。と曖昧な返事をし、口をゆすいだ。
ミントの歯磨きは妙に口のながが寒くなる。冬だけに。

「…あれ、そういえばあんた、今日起きるの早いんじゃない?」

歯ブラシをポーチから取り出しながら出雲ちゃんが言う。
私は顔を洗うために髪の毛をしばりながら答えた。

「うん。今日は誕生日プレゼント買いに行くの。燐と雪男くんのね」
「…ふ〜ん……」
「(…どうしたんだろ)」

いつもと違い適当な返事をされて私はちょっと違和感を覚えた。
何か誕プレでなにかあったっけ?

「…ま、雲雀から貰うんだったら奥村くんは何でも喜ぶと思うけど?」
「へへ、そーだね。燐ってちょっと他人と神経が違うとこあるよね」

あんたも他人のこと言えないけどね、と突っ込まれたけどそこはスルー。
じゃあね、と言って自室に戻る。




「よし。支度しますか」

私はお風呂場に向かった。



























「しえみ! ごめん遅れて!」
「ううん、私も今来たところなの!」

待ち合わせ場所に行ったら、しえみはもう来ていた。
どうやらしえみは待ち合わせする前にどこかに行ってたらしい。
今来たところと他人が言ったらあながち事実とは言い切れないように聞こえる人もいるが、こんな嘘も知らないような純粋な子が言うんだから、事実だろう。

純粋って、いいなぁ。
なんかほわほわしてた。あれ、私いま変な顔してなかったかな…?


「…雲雀ちゃん?? 具合悪いの? 大丈夫?」
「えっ、ああ、うん大丈夫。ちょっとお花畑に飛んでた」
「?」

「(へへへ〜……やっぱ通じんか…)」

いつものように他愛ない言葉を交わしながら街へと向かう。
久々に来た街はもうすっかりクリスマスモードで、カップル等で賑わっている。

「そっかぁ、もうクリスマスだね」

としえみが言うので私は、

「リア充の祭典まであと15日…」

と言った。

「雲雀ちゃん!? 何言ってるかは分かんないけど顔が死んでるよ!?」
「いい? しえみ。リア充ってのは『リアルに充実』っての略で、つまり『三次元での勝ち組』のことよ。
例えば、友達が多くて年中ワイワイキャッキャしてる人とか、ここら辺にアリのようにウジウジたかってるカップルもリア充に入るのよ」
「へぇ、そんな言葉あるんだ!
じ、じゃあ、カップルってことは…雲雀ちゃんもそのリア充ってのに入るんじゃないの?」
「いやぁ、私はさ、その…燐のなかで本当に恋人扱いされてるのかも不安なような扱いをされてるから…」


そう。私は燐と付き合っているが、あまり恋人という意識をされていないんじゃないかと不安になる。
手も繋いでなければ、キスもまだしてないし……。その先のことなんか出来るはず、ない!ないない!nothing!!
でも、ハグはする。順番がおかしいだろうけど、燐は良く私に抱きついてくる。
昨日も塾の帰り、私にべっとりくっつき虫のように抱きついて離れなかったので、暫く私に引きずられていた。
まぁ……嫌なわけではないけど、思いがけないで来るから驚くし、それに周りの人の目も考えないで行動するから、何というか


恥ずかしい訳で。

志摩くんにはいっつも言われる。「雲雀ちゃん、奥村くんのお守り大変やなぁ(笑)」と。必ず語尾に(笑)をつけて。(それはなんでなのかは良く分からないが。)


「う〜ん……でも、私から見たら、燐は雲雀ちゃんにベッタリだと思うなぁ」
「それはただ単に燐が離れないからであってさ……もういいや…言うのも疲れた」



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