闇の中の光
□第5話
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鳴海が去り、棗が入ったクラスは荒れ模様…
蜜柑の心も荒れていた。
蜜柑は蛍に抱きついて、座っていた。
そこにパーマや棗の取り巻きがやってきた。
「ちょっと佐倉さん。あなたの星階級いくつ?」
「…はい!?星階級?!」
(校長が言ってた、あれか…?)
「やだっ何この子!“星階級”も知らないなんて!!よくも、そんなんで棗君をパートナーに選んだりしたわねっ」
「「だから、選んでないっつの。」」
心読み君と見事にはもった。
ナイスつっこみだ。
委員長が星階級について説明してくれた。
星階級とは、能力レベルや生活態度なんかを総合した評価システムらしい。
評価は4段階あって、星の金バッチで表される。
上から“トリプル” “ダブル” “シングル” “星なし”があり、星なしは主に幼い子にしかないらしい。
そしてそれとは別格に“スペシャル”っていう最上階級があって、全学年の中でも滅多にいない天才中の天才の階級らしい。
星階級によって、学園内や寮での待遇も変わる。
(ウチもスペシャルやけど、そんなにすごかったんや……実力じゃないけど。)
「あっ委員長!それってトリプルでは?」
蜜柑は委員長の制服についている星バッチを見た。
「あ…うん。えへへ…///」
「トリプルは初等部に3人しかいないんだよ。委員長は真面目で責任感あるし、この年で高度な幻覚能力使えるし。」
クラスの子が教えてくれた。
「す…すご――い、いいんちょ――…そうみえんだけにっ」
「今井さんも、トリプルだよ。」
「え…えっ」
「彼女、頭も良くて落ち着いてるし、行動力だってあるし、何よりとても独創性のあるアリスだもん。」
(蛍って、本当にすごかったんや…)
「あれ?じゃあ、棗は?」
「彼は、等部唯一のスペシャルよ。決まってんでしょっ」
パーマが言った。
「言ったでしょう、彼は天才アリス。あんたなんかとは格が違うのよ。」
「あいつ、むっちゃ悪い奴やんっ」
「あの才能を前に、多少の悪事なんて些細な事よ。」
「へえ〜。」
(あいつもウチと同じ理由で、スペシャルなんかな…?)
「で…あなたの星階級は??」
「ウチはな……」
キ――ンコ――ン カ――ンコ――ン
蜜柑が言おうとした時、チャイムが鳴った。
「あっやべっ。次神野の授業じゃん。」
みんなは急いで席に戻った。
「“神野”って?」
「初等部総監督で、算数の先生だよ。」
「ふ――ん…」
「すごく厳しい先生で、曲がった事が大嫌いなんだ。蜜柑ちゃんも神野先生には目つけられないようにね。」
「――では授業を始める。」
(この人…確か過去で見た人や。雷のアリスの…)
シ――――ン…
教室はさっきまでと違い、とても静かだった。
(……。さっきも思ったけどここの悪共、ホンマ弱者に強くて、強者にはシッポださん奴ばっか……)
スコ―――ン
何かが蜜柑の頭に飛んできた。
笑い声も聞こえる。
「なっ…」
「新入生、何か質問でも?」
「あ、いえ…」
『授業なんてつまんなーい。たこやき大好きコケコッコー!!』
今度は蜜柑の頭の上に、ニワトリのメカが…
「な…これはウチじゃ…」
「…新入生。お前は私の授業に不満でもあるのか?言いたいことがあるならハッキリ言え。」
(何やねんっさっきから……)
「目障りな態度でこれ以上、授業妨害を続けるならば処罰を与えるぞ。」
「ウチは…」
「蜜柑ちゃんっ上!!」
「えっ」
委員長の声で上を見ると、そこにはゴミ箱が浮いていた。
「わ――――っっ、こっちくんな――――っっ!!」
ビュンッ
「…あれ?“ビュン”て……?!! !?」
黒板の前には、ゴミ箱を頭にかぶった神野がいた。
咄嗟に、無効化を使ってしまったらしい。
「“授業妨害”……、“授業中の能力使用”などのルール違反。いい根性だ、新入生…」
「でも…ウチにはゴミ箱を浮かすアリスはありませんっ」
「言い訳はいい。きくところによると、お前の星階級は“スペシャル”らしいな。幹部生だからといって調子にのるな。」
(ウチのせいやあらへんのに…)
「今度こんな事があれば、次は容赦しない。」
キ――ンコ――ン カ――ンコ――ン
授業が終わり、神野が教室から出て行った。