Parallel World

□Mission1
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弟と寄りそう様に木に凭れて眠りにつこうとしていると、ダンテに肩を突かれた。






「カンナ、ちょっといいか?」



「…あ、なんとなくわかりました。ちょっと待って下さい。」






恐らく自分の想像している事だろう。教えた名前を口にしながら眉間に皺を寄せているダンテの表情は何かを疑っているようにも見えた。



弟をそうっと離し、焚火の近くに腰掛けたダンテの隣に腰を落とす。






「私たちがどうしてこんな所にいるか、ですよね。」






相手の質問を先読みしたようなカンナの言葉にダンテは少し目を見開いた。



カンナを観察するような目、その目にカンナ自身はどのように説明すれば理解してもらえるのだろうかと考えた。






「この山は最近悪魔がうろついてやがる。まず人が出入りすることがない。第一、シオンみたいに靴も履いてねえ子供がいる訳もない。お前たちはどうやって此処に来たんだ?」






悪魔―――それは先程の化け物の事だと教わった。



弟の薄汚れた足裏を見つめながらカンナはどう説明するのか、考えを巡らせ、重い口を開けた。













一通り説明した、母親の事、手紙と鏡の事、弟を追いかけて鏡に入った事、気付いたら此処にいた事。



説明し終わった後、カンナは視線を前に向けたまま中々戻せずにいた。



弟に聞けば来る時に私のように魔法陣が現れなかったという。



…悪魔が現れる時と同じだった自分。



それがどういう事かは、単純に考えればそういうことで。



自分の存在についてなんて考えたこともなかったカンナにとって、初めて怖いと思えた。



その事が、頭から離れない。ダンテには言えない事だった。







「…取り敢えず、姿見からなら帰れるんだろ?母親をどうするか家に帰るかは後にして、取り敢えず俺の家に来ればいい。な?」






なんとかなんだろ、なんて余裕の笑みを浮かべながら撫でられ、久々に子供扱いされている気がして腹が立つものの、ほんの少し弱音を吐きたい気持ちになった。



けれど、吐いてしまっては弟を守りきれない気がして、カンナは震える声でたった一言、






「…はい。」






返事だけ返した。






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