長編
□女神による大空の為の復讐劇《本編》
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第一話*最高神は酒を片手に魔王をシバく。
とある異空間、とある宮殿。
豪華絢爛な宮殿の一室では、異様な光景が繰り広げられていた。
闇夜が広がる窓の向こう。それを横目に見て、ソファに腰深くかけた美女。
艶やかな真っ直ぐの黒髪は、地面に敷かれた絨毯まで広がるほど長く、赤と金の衣を身に纏っている。
首には勾玉の首飾り、両手首には朱色の数珠をつけていた。
整いすぎている顔立ちはもはや人形のような女性は、真っ赤な紅が引かれた唇にワイングラスをつけた。
「…ゼウス。貴方、真夜中に女性の寝床へ現れるなんてどういうつもり?」
「まぁそう言うな、天照。手土産も持ってきただろう?」
天照(アマテラス)と言われた美女の向かいにあるソファに腰かける色男。
サラサラした金髪に、白い肌はかなり鍛えられて逞しい。美男子とも言える、天照に敵うくらいの外見だった。
高級そうなブーツの下敷きにされているのは・・・・。
「っおい!てめえ、ゼウス!とっとと俺様を離しやがれ!」
長い黒髪から覗いた角。こんがりと焼かれた小麦色のこれまた逞しい肌。美丈夫な男がゼウスの足で下敷きにされていたのだ。
それを見た天照は、ため息をつく。
「・・・ハデス。貴方は一体なにをやらかしたのですか。」
もう疑問系ですらない問い。呆れを含んだ口調にハデスは怯んだ。冷や汗をだらだら流しながら。
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