友雅さん・長編

□パパのお仕事
1ページ/18ページ

「友雅がいなくなると、内裏も寂しくなるね」
とある穏やかな昼下がり。
内裏でゆったりとしていた帝が言った。
この時間は、弟の永泉と舅の左大臣とともに過ごしていたのだが、話題はいつしか、友雅になっていた。
「そうですね、友雅どのは華やかな方でしたから」
「まあ、少々軽薄すぎるきらいはありましたがな」
ははは。
そんな風に言いながらも、三人は少し寂しく感じていた。
「しかし、その友雅もとうとうただ一人を見つけ出したか」
「そうですね。やはり神子とは何かしら因縁があったのではないでしょうか」
「さようですな。なにせあんな可愛らしい子供も授かるくらいですからな」
左大臣が楽しそうに話した。
だが。
「子供?」
帝の体がぴくりと動いた。
「ええ。友雅どのに似た、たいそう美しいお子で」
「いやいや、あの真っ直ぐな可愛らしい性格は神子どのの気質としつけのたまものですな」
「左大臣どの、友雅どのに少々手厳しいですね?」
「ははは、まったくこの大事な時期に消えるという恨みがありますからな」
そんな事を言いながらも、豪快に笑い飛ばす左大臣見て、永泉も苦笑した。
やはり、宮中の華がいなくなる事に一抹の寂しさを感じるからだろう。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ