神子さまたちと野獣たち

□神子さまお宅訪問〜あかね編
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あかねがびしっと指を指して言った。
こうなっては、あかねは梃子でも動かない。
まあ、そんな正義感に溢れた所が神子に選ばれた理由だろうし、友雅が愛してやまない美徳だったりする。
だから、友雅は不本意ながら(…)病院へ行く事になったのだった。


「まったく…久々のあかねとのデートだというのに」
後部座席で友雅がつぶやいた。
「…あかねさんではないですが、人の命がかかっているんですよ、あなたの仕事は」
幸鷹はバックミラーごしに、友雅を睨んだ。
だが、それくらいで怯むなら、こんな楽な事はなく。
「だが、私には他人の命よりあかねとの約束が優先されるべきものなのだよ」
きぱっと言い切られ、幸鷹は胃がしくしくと痛みだした。
「なんで私はこんな人種とばかりつきあわねばならないのだっ」
かつての相方、というか今でもくされ縁のある、後ろの席の人間と顔も性格もデカい態度もそっくりな人間を思い出し、幸鷹はため息をついたのだった。


さて、一方のあかねはというと。
「仕方ないよねぇ、お仕事なんだもん」
自分で追い立ててしまったものの、一人で花梨の家に行くのが寂しかった。
…きっとあっつーい所を見せつけられちゃうんだよなぁ。
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