神子さまたちと野獣たち

□神子さまお宅訪問〜あかね編
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早くでやがれ!と言わんばかりに、家の電話がけたたましくなった。
嫌な予感がする。
友雅はそう思い、あえて出ようとしなかったが、あかねはそうはいかなかった。
「橘です」
『あ、あかねさんですか?藤原です』
「あら幸鷹さん」
あかねの言葉に、電話の相手が誰だか分かり、友雅は眉を寄せた。
それは、数ヶ月前から、将来のために有能な秘書を持て、と叔父から押しつけられた人物だった。
「あかね、そんな電話ほうっておいて、そろそろ行こう?」
友雅があかねから受話器を奪い、がちゃりと叩き置く。
「友雅さんっ!」
あかねの非難の声も馬に念仏。
「さあ、行こう」
逆にあかねの背中を押し、さっさと家を出ようとする…。
が。

ピポピポピンポーン♪

今度はドアフォンがけたたましく鳴った。
「はいはい」
あかねはさっと飛び出し、ドアを開けた。
「こんにちわ」
ドアの前にいたのは、先程の電話の相手。
「あかね…相手を確かめてからドアは開けなさいと言っているだろう?」
友雅はかーなーり嫌そうに、その客人を見た。
「…まったく、こうでもしなきゃ捕まりませんからね、あなたは」
「今日は休暇だよ?幸鷹」
「急患です。至急病院に来てください」
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