神子さまたちと野獣たち

□始まりの日
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それは、ゴールデンウイークも少し過ぎ、爽やかな風が吹きはじめたころ。
天下無敵の女子高生から、最強の女子大生になった花梨は、久々に従姉妹のあかねと女の子デートを楽しんでいた。
「そっか。翡翠さんそろそろ誕生日なんだね」
「そうなのよ」
花梨はそう言いながら、小さくため息をついた。
「毎年、私の誕生日にはびっくりするようなものをくれるから、今年こそは!って思っているんだけどねぇ」
大学生になってバイトを始めて、いくらか自分の自由にできるお金もできた。
だから今年こそ!とは思っているのだが、いいものが思いつかない。
だから、今日はやはり年上彼氏…いや、あかねの場合は旦那様なのだが…を持つあかねに相談を持ち掛けたのだ。
「でも、翡翠さんも趣味いいから…変なのを贈れないよねぇ」
「そうなのよ…。ねえ、あかねちゃんは毎年友雅さんの時はどうしているの?」
花梨が興味津々といった瞳で尋ねてくると、あかねはちょっと困ったように笑って答えた。
「私も毎年困っているのよ。…こっちももうすぐだしね…」
「そっか」
「あ、でもね、友雅さんが1番びっくりしたっていうプレゼントがあった」
あかねが何か思い出したように、ぽんと手を叩きながら言った。
「え?なになに?」
是非参考にさせてくれと言わんばかりに花梨は身を乗り出しながら尋ねた。
「えっとね…逆プロポーズ…っていうのかな」
「…はい?」
花梨は乗り出したままの恰好で固まってしまった。
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